一貫してロータリーにこだわり続けるRE雨宮
時代の移り変わりとともに、チューニング業界でも流行り廃りはあたり前のようにあるものですが、RE雨宮はブレない信念でロータリー車と向き合い、常にそれを主役として引き立て、盛り上げることを考えています。2024年のオートサロンでは、AMWが2023年末に事前告知したマツダNC「ロードスター」ベースのREエンジン搭載車が発表されました。
マツキヨカラーのロードスターの依頼主は?
前回紹介した2022モデルのNCロードスターは、RE雨宮ブルーの外観に得意のエアロパーツを装着させた姿だった。今回、東京オートサロン2024マシンとしてリニューアルしたNCロードスターを確認すると、その様子が一転。ショーカーとしてスピード感あふれるグラフィックを加え、イエローとブルーによる鮮やかなカラーコーディネイトで魅せる仕様となっていた。
このカラーリングを見てピンと来る人もきっといるはず。イエロー&ブルーの組み合わせはD1GPのマシンでお馴染みだが、そのスポンサーはマツモトキヨシである。GT選手権時代からRE雨宮とマツモトキヨシとの繋がりは深く、その事を知るロータリー乗り間では、このカラーコーディネイトをマツキヨカラーと呼んでいる。
さっそくリニューアル号について雨さんこと雨宮氏に話を伺った。
「このロードスターはマツモトキヨシの社長から頼まれて作ったんだよ。自分の足として乗り回していた13Bエンジン搭載のNCロードスターを見てそうとう気に入ってもらえて、自分のはシングルターボではなくツインターボに!! なんて話から製作に挑み、完成させたクルマなんだ」
いくらコンパクトなREエンジンといえどもシングルターボの状態ですでにエンジンルームはぎっちり詰まった状態だった。それを色々と工夫しながら、ツインターボ化させるレイアウトを考えるのに苦労したという。だが、諦めなければ答えは出せるもので、今回も見事に世界的に珍しいNCロードスターREツインターボ仕様の完成となった。
450馬力のツンターボロータリー
正式名称は「マツモトキヨシ ロータリーロードスターbyRE雨宮」だ。
注目すべきはパワーユニットで、搭載させたREエンジンは13B-REW、つまりFD3S用のエンジンだ。もちろん、本体はスタンダードではなく、装着させるタービンとの相性を考え、これまで培ってきた経験に基づいて考案したスペシャルポートを採用。
ハイパワーを引き出す要となるタービンは、JPターボ製B400Kというモデルを選択し、専用マニホールドを製作してツイン装着。その最高出力は450psにも達するという。
また、エンジンだけが凄くてもクルマとしては扱いにくくなるため、ストリートカーとして普段乗りでも快適に使えるようにサスペンションチューンもぬかりなく行われている。
RE雨宮がこのクルマ用にセットを考えたのが、RX-8用のサスペンションを使った移植技だ。かなり興味深い内容だが、各アームやナックルも含めて交換することで、NCロードスターのハンドリングはより良くなっている。
そのサスペンションシステムには、エンドレス ジールファンクションベースのRE雨宮オリジナル車高調キットを装着。減衰力の調整幅を持たせ独自セッティングで、あらゆるシーンにマッチさせることが可能だ。この足まわりに合わせるホイールは18インチのエンケイNT03RR(FR9.5J+22)とアドバンネオバAD09(F255/35-18・R255/35-18)タイヤの組み合わせだ。
コンパクトボディにハイパワーエンジンの搭載。このギャップはある意味で正統派チューニングカーといえるかもしれない。小さいからといって舐めてかかったクルマをあっさり追い抜いてしまうというのは、チューニングカーの醍醐味だ。
普段はこのパワーを使い切るということはないだろうが、持て余すパワーを所有することは、色々な意味でゆとりをもたらす。たまに味わうロータリーロケットマシンとしての快感。それを楽しめるのが、軽量コンパクトなRE雨宮NCロードスターベースREツインターボ化仕様といえるだろう。