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高橋国光選手がタイトルを獲ったポルシェ「962C」が富士スピードウェイを激走!「1回走るごとに直しながら乗っています」

軽快な走りでピットを飛び出していった

チーム・タイサンが所有していたマシンそのもの

去る2023年10月29日に富士スピードウェイを会場として『POWER&TORQUE』という名のイベントが開催され、その中で箱車レーシングカーの走行枠が設けられました。『箱車の祭典2023』と銘打って実施された走行枠に参加していたポルシェ「962C」を紹介します。

縁があって現オーナーのもとにやってきた962C

1990年までの純レーシングカーによるClass 1と、1990年までの市販車ベース車両によるClass 2が設定され、前者はGr.CカーやGCカーなど、後者はツーリングカー、TS、ワンメイク車両などが対象となった。

Class 1にエントリーしたアドバンカラーのポルシェ962Cは、1989年の全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)で、高橋国光選手がスタンレー・ディケンズ選手とコンビを組み、シリーズタイトルを獲得したマシンそのものだ。本物ということは、全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権だけでなく、全日本GT選手権(JGTC)においてもポルシェ962Cを走らせたチーム・タイサンが所有していたマシンそのものだ。

現在のオーナーである諸井 猛さんによると、代官山で開催されたル・マンウィークのときにポルシェ962Cを24時間展示しようという話になり、諸井さんはロスマンズカラーのポルシェ962(シュパンポルシェでナンバーが付いている)、チーム・タイサンはアドバンカラーのポルシェ962Cを飾ったのだという。そのときにチーム・タイサン側から「ポルシェ962Cを諸井さんが2台持っていたほうがいいよ」と提案され、2015年に譲ってもらうことになったそうだ。

「一回走るたびに直し、直し、直し……ずっと直しています。元F1ドライバーのティエリー・ブーツェンがドライブしたことがあったのですが、彼の凄い走りによって、このクルマは残りのライフを使い果たしてしまいました。もともと排気量3.2リッターの最終仕様エンジンが載っていたのですが、それを3.0リッターのハイブースト仕様に戻しました。パーツが再販されたので手に入れ、エンジンを造って、2022年に完成。本来は7500rpmがリミットですが、きょうは少し低い7000rpmに設定し、リミットを下げたままコースイン。実際には6800rpmぐらいで走りました。調子はいいです」

日本のモータースポーツ界を黎明期から牽引してきた高橋国光さんは、2022年3月16日に逝去された。今回の箱車の祭典では、ハコスカGT-Rの50勝記念車(1972年式をベースとしたレプリカ)とポルシェ962Cがコースイン。

国さんにゆかりのある2台の走行シーンを一度に拝むことができたので、古くからのモータースポーツファンは感涙ものだった。これからも、こういうイベントが継続開催されることを願うばかりだ。

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