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マセラティ「MC20チェロ」長距離テスト! たとえるなら「ラグジュアリーなダラーラ ストラダーレ」でした

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TEXT: 西川 淳(NISHIKAWA Jun)  PHOTO: タナカヒデヒロ(TANAKA Hidehiro))/Maserati S.p.A.

  • ルーフにはPDLC(高分子分散型液晶)技術を採用し、ボタン一つで曇った状態から透明に変更することができる。車名の「チェロ」はイタリア語で「空」を意味する(C)タナカヒデヒロ
  • ルーフの開閉時間は12秒。時速50km/h以下なら走行中でも開閉可能(C)Maserati S.p.A.
  • ルーフはスライドしてリアハウジングに格納される。ちなみにルーフ開閉操作はセンターディスプレイで行う(C)Maserati S.p.A.
  • ボディにはマットホワイトゴールドのトライデントエンブレムを備えた(C)タナカヒデヒロ
  • プリマセリエには20インチのロゴ入りホイールを装着(C)タナカヒデヒロ
  • カーボンとアルカンターラを用いたインテリア(C)タナカヒデヒロ
  • センターコンソールにはダイヤル式の走行モードセレクターを配置。GT/スポーツ/コルサ/ウェットが用意される(C)タナカヒデヒロ
  • プリマセリエのシートはレザーとアルカンターラを用いたホワイトの「アイス」(C)タナカヒデヒロ
  • 撮影車両はエクステリアカラーに三層ペイントのアクアマリーナを採用する導入記念モデル「プリマセリエ ローンチエディション」。カーボンパーツなども多数装着される(C)タナカヒデヒロ
  • クーペ同様、カーボンモノコックボディに、バタフライドアを備える。車両重量はクーペのプラス65kg(C)タナカヒデヒロ
  • 最高出力630ps/最大トルク730Nmを発揮する、3L V6ツインターボ「ネットゥーノ・エンジン」を搭載。0-100km/h加速2.9秒、最高速度320km/hとされる(C)タナカヒデヒロ

MC20チェロが日本に上陸

マセラティブランドの節目を飾るMC20のオープンモデル「チェロ」を長距離テスト。クーペで上質なグランドツアラー&リアルスポーツカーぶりを経験した同じ京都までのコースで、「空」が見えるチェロの実力を試してきました。

ブランドの節目を飾る“ネットゥーノ・エンジン”搭載モデル

有名ブランドの今は悲喜交々だ。フェラーリやランボルギーニのように業績絶好調で順風満帆なブランドもあれば、ジャガーやアルファ ロメオのように業績不調からBEV専売という賭けに出るブランドもある。ICEVとBEVの二刀流で突き進むポルシェやジャーマンプレミアム3といったドイツ勢、業績好調ゆえに思い切った電動化を進めるロールス・ロイス、もう一皮剥こうと心機一転BEVに賭けるロータスなどなど、その現在地もまた様々だ。

イタリアの老舗マセラティは経営のコンディション的に見て、同じイタリア勢でたとえるならアルファ ロメオとフェラーリの間くらいだろうか。業績はそこそこ、電動化には積極的、けれども内燃機関も見捨ててはいない(V8エンジンこそ2023年12月で生産を終えたけれど)。そんなブランドの近未来戦略のノロシとなったモデルがMC20であった。

リアミドシップ・スーパースポーツの世界に戻ってきただけじゃない。カーボンモノコックボディを持つ軽量ミドシップスポーツは、それゆえ将来のフル電動化にも備えたマシンだ。事実、マセラティはすでに新型グラントゥーリズモをICEVとBEVの二刀流モデルとしてハナから開発しデビューさせた。台数規模は違うけれどBMWあたりと似た戦略である。

マセラティのように小さなブランドが、巨大グループの一員であるとはいうものの、内燃機関とフルバッテリーを同じタイミングで新規開発することは並大抵ではない。しかも、そのカテゴリーは一つではなかった。SUVからスーパーカーまで広範囲にわたっている。マセラティ首脳陣の不退転の決意がみてとれるだろう。

というわけで、ブランドの一大転機、節目を飾るモデルとなったMC20。すでにクーペとオープンモデルの“チェロ”というエンジン2モデルが日本に上陸し、続々とデリバリーされている。クーペで一度京都までテストドライブをしており、さらに今回、スパイダーでも同じコースを走ってみることに。

カーボン骨格の2シーターミドシップスポーツカーというとつい硬派な乗り味を想像してしまいがちだ。けれども筆者はすでにクーペのテストで、MC20のとても上質なグランドツアラーぶりを経験している。同時にもちろんリアルスポーツカーとしても上等であることも知っている。チェロになって、その魅力は空が見えるぶんだけ純粋に増すのか、それともどこかを減じてしまうのか、知りたいことはそれだけだった。

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