平成元年デビューした国産オープンスポーツの傑作、ユーノス ロードスター
近年は旧車ブームも相まってか「旧車が好き」という若者が増えています。しかし、実際に若者が旧車を見たり、触れたり、乗ったりするという機会は少ないのも事実。そこでAMWでは、旧車好きな19歳の女性レーシングドライバー佐々木藍咲(ささき らみ)選手に旧車へ乗ってもらい、若者の新鮮な視点からインプレしてもらうことにしました。今回は、日本が世界に誇るオープンカーのヒット作、マツダの初代NA型「ユーノス ロードスター」です。
マツダ渾身のレストアを受けたオリジナル度の高い個体に試乗
富士スピードウェイで開催されている女性だけのモータースポーツカテゴリー「KYOJO CUP」で2023年シーズンに4輪レースデビューした佐々木さんは、旧車イベントに参加したことをSNSに投稿するほど、根っからの旧車好きだ。近年のレーシングドライバーは「レースという競走が好きで、クルマそのものはそこまで……」という選手も多いが、佐々木さんはプライベートでもマイカーのトヨタ「86」でサーキット走行を楽しむほど。
レーシングドライバーをする傍ら、普段はフォーミュラドリフトジャパンを運営する会社である「MSC株式会社」に勤めるという、公私ともにクルマ漬けの生活を送っている。
そんな佐々木さんに今回はマツダが所有するユーノス ロードスターを運転してもらった。1989年式のこの個体はNAロードスターの歴史の中でも初期型に当たるモデル。マツダがレストアして万全の体制で管理している個体で、世界的に見てもオリジナルをキープしているユーノス ロードスターの中ではトップクラスのコンディションと言える。
なんと言ってもリトラがカワイイ!
極上コンディションのユーノス ロードスターを見た佐々木さんの反応はこれまでの旧車とはちょっと違うものであった。
「カワイイ! っていうのが第一印象ですね。とくにリトラクタブルヘッドライトを上げるとよりカワイイです。ヘッドライトはボディサイズに対してやや大きな印象があるのですが、それもカワイイと感じるポイントに繋がっているのかもしれません」
じつはスライドコントロールのトレーニングのため、モータースポーツのサポート活動も行っている埼玉県のカーショップ「starfield(スターフィールド)」の2代目NB型ロードスターを借りて練習しているという。NAの室内に乗り込むと共通点に驚いていた。
「ウインドウのスイッチがセンターに集約されていて、サイドブレーキが助手席側にあるのはNBと同じなんですね。コンパクトな車内でうまくスペースを使う工夫を感じます。違いと言えば、NBはトリップとオドがデジタル表記でNAはアナログなので、ここは何だか懐かしさを感じるポイントですね」
長いアンテナはちょっと気になるかも
内外装に関してはちょっと変更したいポイントもあるようで……。
「アンテナが長いままなのは何だか少し不格好というか、スマートじゃない印象を受けますね。あんまりこんなアンテナのNAって見ないような気もするんですが……」
佐々木さんと同じことを思ったNAロードスターオーナーは多かったのか、じつはショートアンテナ化はNAロードスターでは定番カスタムだったりする。むしろオリジナルでアンテナが残っている方が珍しいかもしれない。
オープンドライブ初体験! シンプルに楽しい!
これまで試乗してきた旧車の中でも、最もオリジナル度の高い状態をキープしているユーノス ロードスター。まだ10代の佐々木さんに、1.6Lである素のNAロードスターはどんなふうに感じられたのだろうか?
「まず、これまで運転させてもらった旧車が重ステだったので、ステアリングの軽さにビックリしました。走りはじめると、構えていた以上に軽くて第一印象に色濃く残るくらいです。あとは乗り心地が良くてびっくりしました。もっとスポーツカーらしいハードな印象なのかなと思ったのですが、これだったら普段から手軽に乗れるというか、だれでも苦労が少なく乗れる感じですね」
そして、ロードスターの特徴的なポイントのひとつであるオープンドライブも体感。スライドコントロールの練習でNBを使用していても、オープンで走ったことはないとのことで、これがオープンドライブ初体験だという。
「何というか、オープンドライブはシンプルに楽しいですね! 今まで無かった感覚なので、子どものようにはしゃいでしまいました。あと、最初は空調の操作方法がわからなかったので、寒いと感じていました。でも、カメラマンさんにヒーターを教えてもらったらすごく快適でしたね。“冬のオープンドライブは露天風呂みたいだよ”っていろんな人が言っていたのがわかりましたよ!」
ソフトトップの進化に思いを馳せる
初めてのオープンカーにテンションが上がっていた佐々木さん。しかしオープンにする苦労もあるのだなと感じたそうだ。
「後から知ったのですが、このクルマはオリジナルそのままなので、ビニールのリアスクリーンとトップ部分を別々で開ける必要があるんですね(俗に言うNA開け)。今のオープンカーなら、ガラスのリアスクリーンなので手動でも素早く開けられますが、オリジナルのNAのソフトトップだと結構手間だなと感じました。そう思えば、ソフトトップも進化しているんですね」
初期のビニールのリアスクリーンを今でも装着しているNAロードスターは珍しい。張り替えでNBのソフトトップにしたり、NAでもガラスのスクリーンを備えたソフトトップに変更していることがほとんどだ。
もしNAロードスターをマイカーにしたらどうする?
これまで乗った旧車たちに比べて、ユーノス ロードスターは現代的であまり苦労なく乗れた印象だったそうだが、30年以上前のクルマと聞いて驚いていた様子であった。そんな佐々木さんに「もしもマイカーにしたらどうしたい?」と聞いてみた。
「快適な乗り心地も素敵ですが、もっとシャープな印象を出したいので、車高調を入れたいですね! 見た目も重要ですし!」
佐々木さんの旧車試乗は今後も計画中。次回はどんな旧車をドライブするのか? お楽しみに。
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