冬山はきちんと対策することで楽しくなる
2023年末。秘密基地がある宮城県の山沿いは初雪も降り、夜間の気温が氷点下に迫るほどになってきました。昨年は異様に雪が少なく真冬もジムニーで入ることができましたが、通常ならば12月の下旬から3月の下旬までは徒歩でしか入れず、谷底ということも影響し最低気温は-15°に達することもあります。そこで大切なのが山小屋などの冬支度です。
まずは虫対策からスタート
初めての冬は正直いうと舐めていた部分もあって、暖房は追い付かないしトイレは凍るしで大変だった。それらの反省から厳冬期を快適かつ安全に乗り切る術を身に付け、現在は冬こそベストシーズンといえるほど楽しく過ごしている。
まずは1年間ありがとうと感謝を込め、山小屋の荷物をすべて外に出して大掃除。本来なら寒さの厳しくない10月ごろにやっておきたいのだが、その時期はカメムシが大量発生でドアを開けることすら憚られる。活動が落ち着いたころを見計らって山小屋を空っぽにし、床や壁をクリーニングしたうえで燻煙式の殺虫剤を焚く。隙間に入り込んだカメムシや他の害虫を徹底的に駆除し、その間に外へ出した荷物に隠れているカメムシも取り除く。
ウッドデッキの対策も丁寧に
それが終わったらウッドデッキのメンテナンスだ。防腐剤を床だけでなく手すりや柱まで、裏側も手の届く範囲は可能な限り塗布する。まだ建てたばかりで眼に見えるような傷みはないものの、年1回のペースで塗っておけばだいぶ延命できるはず。なお、使っているのは無色透明で防腐に加え、防虫や防カビといった効果も期待できるらしい。
失敗から得た教訓としては、玉切りした木にカバーをかけること。開拓を始めたころに倒した木は無造作に放置したせいで、腐食まではいかずとも雪の水分をたっぷり吸ってしまい、カビや得体の知れないキノコの温床になってしまった。
そこで翌年からはブルーシートなどで覆い、大切な資源をムダにしないよう工夫している。さらに落ち葉や伐採した木の細かい枝葉も焼却。雪の下で冬を越した落ち葉は湿気をたっぷり吸い、なかなか乾燥しにくいこともこの数年で学んだ。
トイレの凍結防止剤は早めに投入すること
そして初めての冬で最大の失敗だったのが、仮設トイレに凍結防止剤を入れるタイミング。まだ平気だろうと思っていたら洗浄液がガッツリ凍ってしまい、新品で買った仮設トイレが無用の長物と化してしまった。だからといってトイレを使わないワケにはいかず、その冬は沢からバケツで水を汲み上げておき、用を足した後で強制的に流す方法で対応した。
なお凍結防止剤は5Lで2500~4000円とそこそこ高い。自分たちは-55℃まで対応の製品を約2倍に希釈すれば、7~8Lで余裕を持ってひと冬を乗り越えられると計算している。また雪が降ると普通のクルマはまず入れなくなるので、汲み取りも毎年11月に業者へ依頼するのがお約束だ。
あとは物資の搬入。食料は泊まるたびに持ち込むとしても飲料水や灯油といった重量物は、雪がなくクルマで入れるうちに運んでおかないと大変な目に遭う。目安としては飲料水が2Lのペットボトルで12本、灯油は18Lのポリタンクでふたつといったところ。
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あとはバーナーで使用するOD缶やCB缶、ランタン用のオイルや炭などもひととおり。冬はどんなに作業のやる気があっても雪のせいで何もできず、ある意味もっともリラックスして過ごせるシーズンでもある。1泊2日分の食料を背負ってスノーシューで移動、山小屋に着いたら雪景色を眺めつ酒を飲む。春や秋とはまた違う魅力にあふれた冬の森、今年も満喫する準備は万全だ!