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山小屋のトイレが完全凍結して使えない! 冬山を楽しむための事前の準備とは【おとなの山遊びVol.22】

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • 冬山の様子
  • 山小屋から荷物をすべて外に出し、掃除しつつカメムシが潜んでいないかチェック。敵は2mmの隙間があれば侵入するだけに油断大敵だ
  • 壁や床を念入りに掃除してから、燻煙式の殺虫剤でカメムシを駆除。それから床と壁を拭いて最後に同じく燻煙式のカビ取り剤も炊く
  • 伐採した木は放置しないですぐ玉切り。そしてブルーシートで雪の湿気を吸わないよう対策する。貴重な資源はムダにしてはいけない
  • 落ち葉も可能な限り焼却しておく。ただ今年は作業の前日や前々日に雨が降ることも多く、結構な量を残してしまったのが悔やまれる
  • 仮設トイレは簡易水洗式。初めての冬は凍結防止剤を入れるのが遅れてしまい、雪解けまでバケツの水で流すという苦労を強いられた
  • 何かと使う飲料水。手動の浄水ポンプは山小屋に置いてあるが、深い雪をかき分けて沢まで降りることを考えれば買ったほうが楽だ
  • 灯油と水道水もひと冬を余裕で越せるくらいの量をストック。特に灯油はストーブふたつとランタンで使うせいか消費が意外と激しい
  • 冬でもウッドデッキにタープを張ってBBQすることがある。今までの経験でいうと5~6kgあれば春まで持たせることができるはず
  • ウッドデッキを長持ちさせるにはメンテナンスが不可欠。それほど面積が大きいワケではないので、ふたりでやれば1時間ほどで終わる
  • 昨年は記録的な雪の少なさで、クルマで入れないときが1回もなかった。とはいえそれはあくまでも異例。準備は怠らないようにしたい

冬山はきちんと対策することで楽しくなる

2023年末。秘密基地がある宮城県の山沿いは初雪も降り、夜間の気温が氷点下に迫るほどになってきました。昨年は異様に雪が少なく真冬もジムニーで入ることができましたが、通常ならば12月の下旬から3月の下旬までは徒歩でしか入れず、谷底ということも影響し最低気温は-15°に達することもあります。そこで大切なのが山小屋などの冬支度です。

まずは虫対策からスタート

初めての冬は正直いうと舐めていた部分もあって、暖房は追い付かないしトイレは凍るしで大変だった。それらの反省から厳冬期を快適かつ安全に乗り切る術を身に付け、現在は冬こそベストシーズンといえるほど楽しく過ごしている。

まずは1年間ありがとうと感謝を込め、山小屋の荷物をすべて外に出して大掃除。本来なら寒さの厳しくない10月ごろにやっておきたいのだが、その時期はカメムシが大量発生でドアを開けることすら憚られる。活動が落ち着いたころを見計らって山小屋を空っぽにし、床や壁をクリーニングしたうえで燻煙式の殺虫剤を焚く。隙間に入り込んだカメムシや他の害虫を徹底的に駆除し、その間に外へ出した荷物に隠れているカメムシも取り除く。

ウッドデッキの対策も丁寧に

それが終わったらウッドデッキのメンテナンスだ。防腐剤を床だけでなく手すりや柱まで、裏側も手の届く範囲は可能な限り塗布する。まだ建てたばかりで眼に見えるような傷みはないものの、年1回のペースで塗っておけばだいぶ延命できるはず。なお、使っているのは無色透明で防腐に加え、防虫や防カビといった効果も期待できるらしい。

ウッドデッキの塗布の様子

失敗から得た教訓としては、玉切りした木にカバーをかけること。開拓を始めたころに倒した木は無造作に放置したせいで、腐食まではいかずとも雪の水分をたっぷり吸ってしまい、カビや得体の知れないキノコの温床になってしまった。

そこで翌年からはブルーシートなどで覆い、大切な資源をムダにしないよう工夫している。さらに落ち葉や伐採した木の細かい枝葉も焼却。雪の下で冬を越した落ち葉は湿気をたっぷり吸い、なかなか乾燥しにくいこともこの数年で学んだ。

トイレの凍結防止剤は早めに投入すること

そして初めての冬で最大の失敗だったのが、仮設トイレに凍結防止剤を入れるタイミング。まだ平気だろうと思っていたら洗浄液がガッツリ凍ってしまい、新品で買った仮設トイレが無用の長物と化してしまった。だからといってトイレを使わないワケにはいかず、その冬は沢からバケツで水を汲み上げておき、用を足した後で強制的に流す方法で対応した。

なお凍結防止剤は5Lで2500~4000円とそこそこ高い。自分たちは-55℃まで対応の製品を約2倍に希釈すれば、7~8Lで余裕を持ってひと冬を乗り越えられると計算している。また雪が降ると普通のクルマはまず入れなくなるので、汲み取りも毎年11月に業者へ依頼するのがお約束だ。

あとは物資の搬入。食料は泊まるたびに持ち込むとしても飲料水や灯油といった重量物は、雪がなくクルマで入れるうちに運んでおかないと大変な目に遭う。目安としては飲料水が2Lのペットボトルで12本、灯油は18Lのポリタンクでふたつといったところ。

* * *

あとはバーナーで使用するOD缶やCB缶、ランタン用のオイルや炭などもひととおり。冬はどんなに作業のやる気があっても雪のせいで何もできず、ある意味もっともリラックスして過ごせるシーズンでもある。1泊2日分の食料を背負ってスノーシューで移動、山小屋に着いたら雪景色を眺めつ酒を飲む。春や秋とはまた違う魅力にあふれた冬の森、今年も満喫する準備は万全だ!

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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