1カ月で10〜20kPaもエアが抜ける
四季のある日本で、一番気温が低いのは1月下旬から2月の上旬。この寒い時期は、タイヤの空気圧点検・調整が非常に重要となります。クルマのタイヤが空気圧に依存する割合は90%といわれており、エアが不足しているタイヤは本来の性能を発揮できないだけではなく、偏摩耗や燃費の悪化、タイヤの損傷にもつながっていきます。そして、空気は気温が低いと圧縮するので、冬場は空気圧が下がりやすいです。
やや高めの空気圧に調整しておくとズボラな人でも安心
通常、タイヤの空気圧は、外気温が10度下がると10kPa(0.1kgf/cm2)ほど下がり、10度上がると10kPa(0.1kgf/cm2)ほど上がる)といわれている。したがって、日中の気温が15℃ぐらいの11月に空気圧を調整し、それっきりエアチェックをしていないとすると、2月上旬には外気温の影響だけで10kPaは空気圧が低下している。
さらに、タイヤが正常な状態でも1カ月で10〜20kPaもエアが抜ける。これがいわゆる「自然空気漏れ」だ。この「自然空気漏れ」こそ、タイヤの空気圧が低下する最大の原因だ。
もし秋から約3カ月、タイヤの空気圧を調整していなかったとすると、「自然空気漏れ」で30〜40kPa、気温の低下で10kPa、合計で50kPaぐらいは空気圧がダウンしていてもおかしくない。
メーカー指定の空気圧が200kPaのクルマであれば、25%も空気圧が不足している状態なので、そのまま高速道路を走れば安定性が悪い。フワフワした頼りないフィーリングになることは間違いなく、最悪、ホイールリムからタイヤのビードが落ちて外れてしまう可能性もある。
タイヤのトラブルは、JAFの出動理由でも2番目に多く、とくに高速道路では、一般道の2倍以上タイヤトラブルが発生している(一般道路におけるタイヤのトラブルは全体の約19%。高速道路は約39%)。しかも、高速道路ではバースト(破裂)が多いのが特徴で、これらの大半は、空気圧の適切な調整と点検で防ぐことができ、冬場は1カ月に2回ぐらいタイヤの空気圧を点検・調整することをおすすめする。
その際、自然漏れによる空気圧低下を考慮して、指定空気圧を基準とし、0~+20kPaの範囲、つまり、やや高めの空気圧に調整しておくとズボラな人でも安心。とくにハイブリッド車など燃費のいいクルマで、滅多にガソリンスタンドを利用しない人ほど、高めの空気圧にしておきたいところ。
また空気圧は、雨の日のハイドロプレーニング現象の発生にも直結していて、空気圧の低いタイヤは溝の深さに関わりなく、ハイドロを起こしやすくなるので要注意だ。
メンテナンスフリー化が進んでいる最新のクルマに乗っている人でも、タイヤの空気圧チェックだけはドライバーの義務として、最低月に1回、できれば月に2回ぐらいは点検・調整することを習慣にしておこう。