クルマ好きなら避けて通れない絶景ワインディング
おもにモータースポーツの取材のため、ヨーロッパを愛車のBMWで東奔西走している池ノ内みどりさん。イタリアへの取材で、道中素敵な出会いがありながら往復の移動を楽しみ、前回はローマから100km離れた田舎の村で絶品のピザを味わいました。今回は走り甲斐のある「ステルビオ峠」を堪能します。
日没の絶景を求めてステルビオ峠を目指す
ローマを抜けてトスカーナの美しいひまわり畑をひたすらのんびりと田舎町を走るのですが、最後はやはり大好きな峠で終わりたい!
この日ももう一泊トスカーナ地方を放浪しようかな、な~んて思いながら、田舎町にある国道脇のドライブインに入り、冷房の効いた店内で涼みつつ絞り立てのフレッシュオレンジジュースをのんびり飲みながら地図検索をしていたのです。
次の仕事が迫っていない限り、旅に出るとその日の気分で宿やルートをテキトーに選ぶ私は、この時点でもう午後1時半頃。でも頑張れば日没までになんとかステルビオ峠に行けるかも? なんて思い、急いでオレンジジュースを飲み干して高速道路へ。
するとなんていう事でしょうか、ボローニャ手前から大渋滞。平日なのに一体どういう事? 渋滞の上に合流でトラックと乗用車の接触事故も発生し、警察車両がなかなかたどり着けないのでサイレンを鳴らしまくり。ちなみに、事故現場へ向かった覆面パトカーは古いアウディA4でした。
ボローニャを抜けるとモデナ。モデナを通る場合はフェラーリとランボルギーニのミュージアムには必ず寄るのですが、今日は思い切ってパス! 渋滞にハマっている途中に、行ける所まで行って、安い宿を取って翌朝にステルビオ峠を走る事も考えて、どこで泊まるのがいいのか、ナビとにらめっこです。
ところで、ボローニャあたりから北は、高速道路を通行しているクルマも美しい!(笑)。ボコボコの傷だらけのクルマは滅多に見掛けませんし、超接近運転をされることも殆どなくなり、気分的にも少し安心です。イタリアでも運転手の地域性はかなり出ます。
ヨーロッパの夏場の日没はとても遅く、北イタリアでは21時を過ぎてもまだ明るいのです。なので、ステルビオ峠で日没を見るぞ! くらいの勢いで向かいました。北イタリアの南チロル地方は、元はオーストリア領なので公用語がドイツ語とあり、私にとっては非常に助かります。道路標識はドイツ語とイタリア語の両方で記載されています。
山影で薄暗くなっていましたが、なんとかステルビオ峠に上がれそうなのでそのまま上りました。コロナ禍を挟んで久々に走るステルビオ峠、それも日没前なので観光客が一切おらず完全な貸し切り状態でラッキー! 私は峠を攻める派ではなく、景色をのんびり楽しんだり、エキゾーストノートを聴きながら自分のペースで走りたいので、貸し切り状態は大歓迎でした。
以前に所有していた愛車で走った際には、対向車との兼ね合いもあり、狭いヘアピンカーブの内側に入り過ぎてガリっとフロントバンパーを擦ってしまった事もあったので、久々のステルビオは慎重に(苦笑)。
ちなみにステルビオ峠、春~秋の日中、特に週末はクルマやバイクが上下線ともたくさん連なっている時もありますので、空いている平日がおススメです。また、ロードバイクの方が上から集団で勢いよく飛ばして降りて来られるので、こちらもご注意を。意外と多いのがシニアの自転車乗りの方々。みなさんお元気!