事前の準備で対策できるものもある
1年で一番寒いのは、「大寒期」。2024年でいえば1月20日から2月3日の節分までの15日間がその時期に当たります。しかし、今年は暖冬だと油断していたら、2月に入ってからの雪予報! スタッドレスタイヤは履いているけれど、万が一の降雪に備えた具体的な対策箇所をお教えします。
フロントガラス
クルマの凍結でもっとも身近で厄介なのはフロントガラスの凍結。薄く霜が降りるぐらいなら解氷スプレーですぐに視界が確保できるが、雪も降るような地域なら、市販のフロントガラス 凍結防止シートを利用するのがベスト。固定さえ工夫できれば、古いシーツや不要になったバスタオルでも代用できる。
逆に、凍結したガラスにお湯をかけて解かそうとするのは厳禁。最悪の場合、ガラスが割れることもあるので、フロントガラスが凍ってしまった場合は、解氷スプレーとスノーブラシを併用するのが最善だ。
ウォッシャー液
ウォッシャー液も厳冬期には凍りやすいので要注意。標準的なウォッシャー液の原液は、エタノールの濃度が10%ぐらい。夏場はこの原液を同量の水で希釈して使えば十分だが、原液と水が1:1だと、凍結温度はマイナス2度ぐらい。これでは平野部でも心許ないので、冬季はできれば原液100%がおすすめ(凍結温度はマイナス6度ぐらい)。もっと寒い地域で走るのならば、寒冷地用のウインドウウォッシャー液(メタノール40〜45%)を使用しよう。
ワイパー
ワイパーも標準的なトーナメント型の場合、ワイパーフレームの部分に雪が詰まったり水分が凍って固着してしまう場合がある。そこで雪国などでは、ワイパーフレームがゴムに覆われているスノーワイパーが必須となる。フラットワイパーでも、凍結には強い。また雪が降っているときに長時間駐車しておくときは、ワイパーを立てておくのが基本。
クーラント
ラジエターの冷却水=クーラントも濃度によって凍結温度が変わってくる。通常LLC濃度が30%だと凍結補償温度はマイナス15℃前後。LLC濃度が50%だと凍結補償温度はマイナス35℃前後。LLC濃度は濃すぎても冷却性能が低下し、夏場はオーバーヒートの原因になりかねないので、適正な濃度に調整することが大切である。濃度はディーラーや整備工場に行けばテスターで簡単に確認できるので、一度点検しておくと安心だ。また、クーラントは劣化したり濃度が薄くなると、防錆効果も落ちるので定期的に交換すること。
軽油
軽油にはJIS規格で5種類の製品があり、低温での流動性が違う。寒さの厳しい地域に行くときは、なるべく現地で、寒冷地用の軽油を給油するようにしよう(ガソリンも冬場は、低温時の揮発性(蒸気圧)を高めてエンジン始動性を向上させている)。
番外編となるが、下記の2つにも注意をしたい。
オイル
オイルはよほどのことがなければ凍ることなどはさすがにないが、寒い時期にチョイ乗りばかりしていると、ガソリンでオイルが希釈されやすい。というのも低温時は始動性を高めるために、燃料を濃く吹くようにコンピュータが空燃比をコントロールしているため。また寒いときはオイルパンの中が結露する可能性もあり、水分の混入によって、オイルの劣化が促進されることも。
タイヤ
タイヤは性能を発揮出来る温度域が決まっていて、夏タイヤだと外気温が7度を下まわると本来の性能が発揮出来なくなるといわれている。そのため、外気温が7度以下になると、グリップ力が落ち、滑りやすくなって、摩耗も進みやすくなる……。
というわけで、最高気温が10℃にも達しない時期は、雪の有無にかかわらず、冬用タイヤを履いた方が安全だ。