交通タイムス社の社用車にジムニーが納車!
AMW編集部員がリレー形式で1台のクルマを試乗する「AMWリレーインプレ」。今回のお題は2018年に4代目となったスズキ「ジムニー」です。弊社・交通タイムス社の社用車として2023年12月末に納車されたばかりのジムニーXCの5速MT車を、以前はホンダ「ビート」、今はダイハツ「エッセ」(MT)をゲタとしている竹内がワインディングで乗り回してみました。
昔ロードスターでジムニーにチギられた思い出
かつて宮城県の大学に9年も通っていたので、軽自動車の本格四駆であるジムニーは所有したことこそなくても、きわめて身近な存在だった。山間部に近づけば民間だけでなく公的機関のクルマでもジムニー率はハネ上がるし、実家から大学まで往復100kmを毎日自走で通学していた先輩の愛車も年季の入った2代目ジムニー。たまに乗せてもらい、とくに後部座席では決して快適とは言えない乗り心地を堪能したものだった。
そして自身がネットオークションでNA6CE型「ユーノス ロードスター」を10万円でゲットし、ドラテク修行と称して夜な夜な峠を走り込んでいたある晩、おそろしく速いジムニーに軽くブチ抜かれた。地元のクルマだったのだろうか。あの消えゆくテールランプの残像は、今でもまぶたの裏に刻みこまれている。それをきっかけに自身のドライビングセンスのなさを自覚して安全運転に専念するようになったのだから、あのジムニーはある意味、山の神の警告だったのかもしれない。
あれから約20年、現在は雪とほぼ無縁な南関東に住んでいるけれど、最新型のジムニーにせっかく乗れるならということで、近場の峠道に走りに行ってみることにした。
シンプル極まる質実剛健さ、でも安全機能は進化
現行型ジムニーはデビュー直後に少し乗ったことがあるものの、本格的に乗るのはこれが初めて。これは最上級グレードXCの5速MT仕様だが、ナビもラジオも付いていない「スッピン」の状態だ。近年はほとんどのクルマがデジタル化を売りにしているなか、ジムニーのコクピットは昔ながらのアナログな操作系で、いきなり乗っても迷うことはほぼない。
唯一、エンジンスタートがスイッチ式になっているあたりが今どきを感じる。真夜中に手探りでイグニッションオンしようとしたら、その上のスイッチを押してヘッドライトウォッシャーを作動させてしまった……が、すぐに慣れる範囲だ。
都内の会社から首都高、東名高速を経由して小田原の自宅へ。低回転域からトルクフルなエンジンに組み合わされる5速MTもかなりクロスレシオな設定なので、渋滞の中でもかなり運転しやすい。シートは座った感触も乗り心地もやや硬めだが、ボディ全体の剛性の高さともども、ジムニーはそういうクルマだと誰もが承知して乗るクルマだから、とくに気になる程ではないだろう。
ただし高速域ではエンジン音も室内のノイズもかなり大きめになり、空力的にもフロントの接地感が薄くなって細かい修正舵を多用することになるので、他の軽自動車よりも肉体的な疲労は大きくなる。長距離移動が多い人は1.5Lエンジン搭載でワイドトレッドな「ジムニーシエラ」を選ぶわけだ。
高速道路を走っていると、シンプルな見た目とは裏腹に、そしてラジオもない個体でも、じつは安全面では最新のデジタル装備がサポートしてくれていることが実感できる。前車追従機能こそないもののXCにはクルーズコントロールも備わるし、単眼カメラが路上の標識を認識して速度制限などの情報をメーターの液晶部分に表示する。レーンを逸脱しそうになれば警告音が鳴るのも、長距離で疲れているときは安心な機能だ。さらに試乗中に作動する場面はなかったが、単眼カメラとレーザーレーダーによるデュアルセンサーブレーキサポートも備わっている。
また夜道では、ハイビームアシストがかなり賢くて、先行車や対向車に迷惑をかける心配がほぼなくなっていたのも、地味ながらありがたいポイントだ。