より操作しやすいポジション探し
あとは各種調整機能の使いこなし方について。シートリフターがついていれば、座面はできるだけ低くしたい。座面が低いほどGの影響を受けづらくなるし、目線も自然に遠くになるからだ。
ハンドルの上下位置を調節できるチルトも、ぜひ使いこなしてほしい機能だ。ハンドル自体が上向きになっていると操作しづらく、無駄な力が入りやすいので、できるだけハンドルに正対したい。具体的には、ハンドルはチルト操作で、メーターの視認性や、太腿とのクリアランスに支障がない限り下げ気味にするのがおすすめ。
もうひとつ、ハンドルの前後方向の位置を調整できるテレスコピックも重宝する。シートバックの角度は、シート自体で調整するのが基本だが、ダイヤル式あるいは電動式のシートでないと微調整が難しい。そんなときはテレスコピックとの合わせ技で、ベストポジションを探る。
チルトもテレスコピックもシートリフターも、意外に「クルマを購入してからイジったことがない」という人が多いが、これを使わないのはもったいなすぎる。いつ調整したか覚えていない人は、ぜひ次回クルマに乗る際、チルト、テレスコ、シートリフターを使って、より操作をしやすいポジションを探ってみてほしい。丁寧にシート合わせをすると、その効果に驚くはずだ。(※クルマによっては、チルト、テレスコ、シートリフターのいずれかの機能がない場合もある)
シートベルトの正しい着用方法
もうひとつ、ヘッドレストの位置も大事な項目。ヘッドレストの高さが調整できるクルマなら、ヘッドレストの中心が両耳のいちばん上のあたりになるように調整。これが正しい位置にあるかどうかで、追突事故の際、むち打ち症状のダメージが大きく変わる。
最後にシートベルトの正しい着用方法のおさらいを。ベルトはねじれないようにして、腰骨(腸骨)のできるだけ低い位置にピタッと隙間なく。肩ベルトは肩にきちんと通し、襟のある服を着ているときは、ベルトを襟の下に通しておくと安心。シートベルトストッパー(シートベルトクリップ)などは、安全性を損なうので、使うべきではない。
クルマのシートには、洋服などのように、S、M、Lなどのサイズがないので、小柄な人から大柄な人まで、同じシートしか選べない……。そういう意味で、各個人に合った本当のベストポジションにセットするのはなかなか簡単なことではないが、だからこそ諦めずに微調整を繰り返す根気強さが肝心。ちなみにスポーツシートブランドのブリッドでは、160cm以下のスリムで小柄なドライバーにフォーカスしたバケットシート「ZETAⅣ VERIA」を作っているので、こうした製品があることも覚えておこう。