500台しかないLFAの中でもレアな1台
レクサス、そしてトヨタのエンジニアリングの最高峰として、LFAはこれまで生産された日本製のスーパーカーの中でも最も魅力的な1台であり続けています。ちなみにLFAのAとはAPEX、つまり頂点を意味し、それは2009年の東京モーターショーでその姿が明らかにされた瞬間から、世界的な目で見ても真に注目すべきスーパーカーが誕生したことが直感的に感じられた1台でした。
ブラックのボディカラーは21台しかない
実際の生産は2011年から2013年にかけて500台の限定で行われ、そのうち221台はレクサスにとって最大の市場ともいえるアメリカへと輸出された。さらに今回アリゾナ・オークションに出品されたブラックのボディカラーを持つ仕様は、わずかに21台しかないことが判明している。
走行距離はオークションのカタログ製作時点で2600マイル(約4160km)。ブラックとレザーで仕上げられたインテリアも、ラグジュアリーなフィニッシュであるばかりではなく、スーパースポーツとして必要不可欠な機能性をきちんと備えている。
LFAの開発において重要視されたのは軽量性だ。そのためにボディ構造は最先端の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とされ、それによって100kgもの軽量化が達成された。もちろんその製法もプリプレグ、RTM(樹脂注入成形法)、C-SMC(炭素繊維強化シート成型複合材料)と多岐にわたり、このCFRP技術の完全社内自社開発が実現したことは、LFAにとって大きな特徴となった。
搭載されるエンジンは、4.8LのV型10気筒で、これはヤマハとの共同開発によるもの。トヨタ・レーシングのF1用V型10気筒ユニットと同じ工場で製作されている。ブロックはアルミニウム、マグネシウム、チタンによる混合素材で、同等のV型8気筒エンジンよりコンパクトであり、一部のV型6気筒エンジンより軽量だ。
1LR-GUE型と呼ばれるこのエンジンは、バランスの最適化のためバンク角を72度に設定。チタンバルブとコネクティングロッド、鍛造アルミピストン、ダイヤモンドライクカーボンコートのロッカーアームなど、特殊軽量素材を解説していけば、その採用例はここでは書ききれないほどになる。潤滑システムはもちろんドライサンプだ。
最高出力と最大トルクは、それぞれ552ps、480Nmという数字がスペックシートには記載されているが、これに前で触れた軽量化の効果と、最新のエアロダイナミクスによる相乗効果が加わることで、0-100km/h加速を3.7秒で、また最高速では325km/hを達成することに成功している。
組み合わせるトランスミッションは6速のオートメーテッド・シーケンシャル・ギアボックス。このトランスミッションとV10エンジンが奏でるエグゾーストサウンドの素晴らしさもまた、LFAの大きな魅力だ。
RMサザビーズは、2012年式レクサスLFAに80万~90万ドル(邦貨換算約1億1840万円~1億3320万円)の予想落札価格を掲げアリゾナ・オークションに臨んだが、残念ながら今回のオークションでは落札者は現れず、このモデルは現在同社のプライベート・セールにて85万ドル(同1億2410万円)で販売が継続されている。
ちなみに昨2023年11月に開催された同社のミュンヘン・オークションでは、2011年式のLFAが65万7500ユーロ(同9990万円)で落札された実績もある。このあたりとの価格差をどう見るか、それが今後は商談の鍵となりそうだ。