話題のクルマを買いたくてもオーダーできない現状
レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「新型車の長期納車待ち」についてです。話題の注目モデルは、オーダーが殺到しながらも部品供給の遅れなどもあって生産が追いついていない状況であり、長期納車待ちやオーダーストップとなっているケースも多々あります。そんな新車のオーダー方法について語ります。
納車までの期間の長さは人気の証
「日産のアリアを買おうと思っているんだ。どのグレードがお勧めなの?」
地元の友人からこんな連絡が届いたのは昨日のことです。適正な答えを伝えようと日産のWebカタログを巡ったのですが、思わぬ表示に遭遇しました。
「アリア」には大きく分けてふたつの仕様があります。バッテリーの容量と電気モーターの出力の違いによって、平均的な「B6」とよりハイパワーな「B9」がラインアップされている「はず」なのですが、WebカタログにはB6のスペックしか掲載されていないのです。
「あれ、販売してなかったのかな?」
すでに試乗済みですし、僕のYouTubeでも紹介しています。ですが、カタログから消えている。僕が試乗したのはプロトタイプであり、実際の販売は先なのか、あるいは幻かと小首を傾げました。
真相は「納期の長期化」によるものでした。
日産に限らず世界の多くの自動車メーカーは、半導体不足や部品の調達の遅れによって生産が遅れており、客からの注文を受け付けてはいるものの納期がずれ込んでいます。そのため日産では、受注を一時停止しているのです。
電動車として期待されているアリアは日産のフラッグシップであり、話題性も高く注文が殺到しています。ですが、デリバリーできない。それを心苦しく感じた日産は、受注を一時停止したのです。
新型「フェアレディZ」はオーダーが殺到し、デビューしたその瞬間に受注を停止しなければならなくなり、巷を驚かせました。発表はしたものの生産ができない。クルマは鮮度が求められますから、デリバリーできないのならばデビューを遅らせる方法もあったはずです。ですが日産は、発表しつつも売らないという稀有な手法をとったのです。
現在日産が受注を止めているのは6モデルです。アリア、エルグランド、キャラバン、NV200バネット、GT-R、そしてフェアレディZです。そのほかのモデルも、1カ月〜5カ月ほどの遅れがあるようです。