事情を丁寧に説明したうえで受注してもよいのでは?
ただ、わざわざ受注を停止する必要があるのでしょうか。少々疑問に感じます。日産の関係者に聞くと、とても紳士的な答えが返ってきました。
「お客様に長々とお待たせするのは心苦しいので」
なるほど理解できますね。
ただ、丁寧に納期の遅れを伝えていますし、それを理解した客の受注を受け付けてもいいのではないかと思うのです。生産が再開したのちには、可能な限り早く手に入れたい。そのために早めに注文したいという客もいるはずです。
じつは何を隠そうこの僕もその類です。スズキ「ジムニーシエラ」を注文してから1年を経過しているのですが、納期が遅れに遅れ、早くても8カ月後の納車だと連絡を受けています。最初は1月納車、それが5月納車に伸び、さらに8月になりました。おそらくさらに伸びることでしょう。
ですが、ことさら不満ではありません。そもそも注文の時点で納期が遅れる可能性を知らされていたからです。覚悟の上の注文なのですから、スズキに非はありませんよね。
つまり、日産は丁寧に納期の遅れを告知しているのですから、受注しても許されるのではないかと思うのです。まして、やがて販売する予定のアリアB9をWebカタログから消すことはないのではないかと考えます。いかがでしょうか?
海外のプレミアムブランドの中には、そもそも数年待ちは当たり前の販売手法を続けているメーカーもあります。そもそもビスポークのような受注生産のモデルも少なくないわけです。ジムニーシエラのような趣味性の高いモデルであれば待つことも喜びです。
「フェアレディZは5年待ちだってさ……」
なんとことになるのも一興かと思います。人気のバロメーターにもなります。
行列のあるラーメン屋と同格で語っては失礼なのかもしれませんが、並ぶことを楽しむ人も少なくないようですね。神戸には「43年待ちのコロッケ」があるそうです。行列の長さから人気を判断することもあります。コロッケに43年も待てるのであれば、フェアレディZに数年待つことなどまったく苦になりません。
ですが日産は、営利企業であるはずなのに、商品を作っておきながら注文を受けつけない。その真摯な姿勢には感心させられます。
でもね、「◯年待ち」の新記録を見てみたい気もします。