「ミウラP400S」の生産台数は338台
今回ボナムスのパリ・オークションに登場した「P400S」の誕生だ。第一の変更点はエンジンの圧縮比を10.4:1にまで高めたほか、インテークマニフォールドの径を拡大したことなどで、最高出力をP400ミウラの350psから、P400Sミウラでは20psアップの370psを得たこと(パワースペックには諸説あるが、ここではボナムスがカタログに記載したデータをそのまま使用する)。
そしてパワーウインドウの標準装備やエアコンのオプション選択を可能にするなど、装備面でもその魅力はかなり多くなった。もちろんそれらをフル装備すると、P400で980kgだった車重は1040kgまで増加してしまうジレンマはあったのだが……。
出品車は、トータルで338台が生産されたとされるP400Sミウラのうちの1台。シャシーナンバーは「4124」が打刻されている。1969年7月2日にパリ17区にあるインポーター、「Voitures Paris Monceau(カーズ パリ モンソー)」を通じて最初のオーナーに新車でデリバリーされるが、その後「30394」のナンバーを持つエンジンを搭載し、コーチワークも電気化学的処理によって保護、構造が強化された。
インテリアでは1968年4月からレザー・インテリアの選択も可能になった。出品車両の「4124」は、レストア済みということもありクオリティの高いキャビンが採用されていた。
そして1986年、フランスで最も有名なランボルギーニ・スペシャリストのひとりともいえるエドモン・シクレが、この「4124」を購入。ここで再び全面的なレストアの作業を受け、今回約5万3000kmの走行距離でオークションに出品した。
参考までにボナムスの提示した予想落札価格は80万〜120万ユーロ(邦貨換算約1億2800万円〜1億9200万円)。オークションはこの予想落札価格の中で決着し、その数字は95万4500ユーロ(同1億5270万円)というものだった。わずか338台しか生産されなかったランボルギーニP400Sミウラ。その価値と希少性は、これからも変わることはないだろう。