培ったノウハウを注ぎ込んだR35&R33を披露
今年で27回目を迎える「大阪オートメッセ2024」には、過去最大規模となる660台のバラエティ豊かなチューニング&カスタマイズカーが会場を埋め尽くした。今回は兵庫県神戸市に拠点を構え、ハードなチューニングカーを製作することで全国に名を轟かせる「ENDLESS」ブース(6A号館)に展示されていた3台のホワイトなデモカーを紹介しよう。
耐久性も意識しつつ性能も追求したR35
ENDLESSと言えばこれまでGT-Rでさまざまなマシンメイクに取り組み、クローズドコースで実績を残してきた。ゆえに現在も多くのGT-Rユーザーを抱えることで有名。今回持ち込まれたのは2台がR33型日産「スカイラインGT-R」とR35型「日産GT-R」で、もう1台は現在ENDLESSが力を入れている現行のトヨタ「GR86」だ。
まずR35GT-Rは、2023年に新しく開発車両&タイムアタック車両として導入した2017年モデルだ。HKSのキャパシティアップキットで排気量を4.3Lへと拡大するのは前のデモカーと同様だが、タービンをHKSの新世代モデルであるGT5565-BBを組み込んだのがトピック。過給圧は1.9kg/cm2で馬力は1125psに到達。数字だけ見れば、非常に乗りにくいのでは? イメージしてしまうが、じつは中間トルクが厚く、日常でも意外に扱いやすいとのこと。
タイヤ幅も305mmで、ホイール幅も12Jと極太。速さだけでなく、その佇まいまで世界の名だたるスーパースポーツに勝るとも劣らない。外観はトランクにそびえたつリアウイングを装着するが、それ以外はノーマルを崩さないボディメイクにとどめている。速さを追求するならば、さらに空力性能を高めることはできるが、GT-Rらしさを損ないたくないという杉野康人代表の思いから、現在のスタイルにとどめている。
「1100ps/140kgmを超えると各部のライフが極端に短くなる。最近はクラッチの滑りやトランスファーの伝達がうまくいかないなどの不具合が出て、タイムロスすること増えました。あそこを直したら、こっちがダメになる。いたちごっこになっていますね」
と杉野代表。
出力特性を変えるなどライフを持たせる方法もあるそうだが、それではタイムが出せない。極限のタイムアタック車両では交換もしくはオーバーホールしか手がないようだ。
当時の仕様を再現したかのようなR33
R33GT-Rはデモカーではなく、オーナーの要望で製作したコレクタブルなチューニングカー。オーナーのたっての希望でタービンを上側にレイアウトした、昔懐かしいツインターボ仕様。ブレーキも一世を風靡したトラスト社とアルコン社が共同開発したゴールド6ポットキャリパーキットが組み込まれており、1990年代後半のGT-Rチューンを彷彿させる仕上がりとなっている。
エンジンチューンはHKSの2.8LキットにトラストのTD06SH-20RXタービンを組み合わせ、可変バルブタイミング機構のHKS V-CAM(ステップ2)などを装着したことで、なんと861ps/82.7kgm。ストリート仕様というのだが、ドラッグレース仕様並みのスペックとなっている。
「第2世代GT-Rはリフレッシュ&カスタマイズの依頼が多いんですけれど、作業をするためにパネルなどを取り外すと、思った以上に傷んでいるクルマが多い。これまで所有していたクルマでそうなのだから、今、GT-Rを買った方の個体はより心配です。注意と覚悟は必要ですね」