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4000万円に価値が上がった「コンチネンタルGT」は「ナンバー9エディション」でした。「100台限定」の特別装備を解説します

4000万円に価値が上がった「コンチネンタルGT」は「ナンバー9エディション」でした。「100台限定」の特別装備を解説します

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

邦貨換算4000万円近い落札価格も、充分にリーズナブル?

2019年の発売当時、ベントレー コンチネンタルGTナンバー9エディションは、「ビリジアン・グリーン」および「ベルーガ・ブラック」の2色から選べることになっていたが、このほどRMサザビーズ「ARIZONA 2024」オークションに出品された個体は前者のグリーン。同系色である「カリビアン・グリーン」の本革レザーインテリアが組み合わされている。

コネチカット州グリニッジのベントレー正規ディーラーにて、2020年に新車として販売されたこの個体には、100台すべての「コンチネンタルGTナンバー9エディション」に共通する「オールド・ナンバー9」ル・マン・カーの木製部品から直接採取したウッドインサートを装着。それは樹脂にはめ込まれ、バックライトで照らされ、ダッシュの中央に配置されている。

また「センテナリーゴールド」のトリムピースの数々にくわえて、「1/100」の特別なドアシルプレートや18Kゴールドプレートのオルガンストップなど、ティム・バーキン卿と彼の名高いブロワー・ベントレーへのオマージュを、ディテールの随所でアピールしている。

さらには「バング&オロフセン」社製の純正オーディオシステムやレザーハイドのコントラストステッチ、クーラー/ヒーターを組み込んだコンフォート仕様のフロントシート、「ウイングドB」のロゴが地面を照らすウェルカムライトなど、すべて合算すると8万ドル以上に相当する純正オプションが奢られていたとのことである。

ボディ全体にはクリアの保護塗装が施され、ディープパイルのフロアマット、バッテリー充電器、取扱説明書などの付属品も完備した状態で、オークションに出品されることになった。

気鋭のパフォーマンスとハンドメイドのラグジュアリーを融合させたベントレー・コンチネンタルGTは、結果としてスーパーカーの性能とサルーンの快適性を両立させたことで、自動車界において唯一無二の地位を占めてきたといえよう。

そして現代ベントレーの真髄ともいえるこのユニークな限定モデルは、スタンダードモデルであっても傑出したスーパースポーツであるコンチネンタルGTに、さらなる特別な意味と美しいディテールを付加。ベントレー愛好家やコレクターにとっては非常に魅力的な限定モデルと思われる。

この魅力的かつ希少なベントレーに対して、RMサザビーズ北米本社は現オーナーとの協議のうえ、27万5000ドル~30万ドルのエスティメート(推定落札価格)を設定。オークション公式カタログには「Offered Without Reserve」の表記がないことから、最低落札価格もしっかり設定していたようだ。

ところが1月25日に行われた競売では、エスティメート下限に満たない26万6400ドル、日本円にして約3940万円で落札されることになった。

このハンマープライスは、同じ年式の三代目コンチネンタルGTクーペの相場価格はもちろん、この「コンチネンタルGTナンバー9エディション」が新車としてリリースされた当時の販売価格も上まわるものではある。

でも、いちクラシック・ベントレー愛好家としては、もっと高く評価されても良いのでは……? という気がしなくもないのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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