2オーナーのフルレストア車だった!
2024年2月1日にフランスのパリで開催された、ボナムスのオークション「レ グランデ マルク デュ モンド ア パリ」の中でも、特に熱い視線が注がれていた1台といえば、ランボルギーニが1980年代に生み出したスーパー・オフローダー(現在ならばこれもまたSUVと呼ばれるのだろう)、「LM002」でした。LM002は、そもそもアメリカの軍用車両メーカー、MTI(モビリティ・テクノロジー・インターナショナル)が基本的なスペックを決定したオフロード走行用の4輪駆動車を、ランボルギーニで開発、生産しようというプロジェクトがすべての始まりです。
エンジンは「カウンタック5000QV」と同じ
MTIの計画に基づいてランボルギーニが製作。1977年のジュネーブ・ショーで初公開したプロトタイプの「チータ」は結局正式採用されることはなく、ランボルギーニはここでも大きなダメージを負ってしまうことになる。そこで何とかチータのコンセプトを民間向けのオフロード車に活かせないかと新たに立ち上がったのが、LMシリーズの開発プロジェクトだった。
まず製作された「LM001」はAMC製の5.9L V型8気筒エンジンをミッドシップしたモデルで、1981年のジュネーブ・ショーでデビュー。さらにランボルギーニ製の4.7L V型12気筒を搭載したモデルも製作されたが、装着していたピレリ製のスコルピオ・タイヤとのマッチングが操縦安定性に影響を及ぼすことが判明し、結局それは量産化に至ることはなかった。
その結果、ランボルギーニはパワーユニットの搭載をミッドシップからフロントへ移動することを決断、プロトタイプの「LMA」を経て、1982年にようやくここで紹介する「LM002」が誕生することになる。
ちなみにランボルギーニはその後もLMシリーズの進化には積極的な姿勢を貫き、VM製の3.6Lターボディーゼル仕様の「LM003」や、排気量を7Lにまで拡大したV12ユニットを搭載した「LM004」なども製作されるが、これらはいずれもプロトタイプが製作されたのみで生産化には至っていない。
出品車のLM002に話を戻そう。LM002に搭載されたエンジンは、当初は「カウンタックLP500S」の4.7L V型12気筒を332psで搭載していたが、その後「カウンタック5000QV」と共通の5.2L V型12気筒DOHC48バルブに変更された。最高出力は450psとされ、このパワーで車重が2700kg、全長4900mm×全幅2000mm×全高1850mmに達するボディを210km/hの最高速まで加速した。
トランスミッションは5速MTと2速のトランスファー・ボックスによるもので、さらにロック可能なセンターデフを持つことから、駆動方式は2WD、4WD(フリー)、4WD(ロック)の3タイプを選択することが可能だった。