話題のキットが大阪オートメッセでも大注目
2024年2月10日~2月12日まで開催された「大阪オートメッセ2024」。やんちゃな軽自動車からド派手なVIPセダン、精悍さを増したスポーツカーに至るまで、バラエティ豊かなチューンド/カスタマイズドカーが、会場となったインテックス大阪を埋め尽くしました。なかでも旧車ファンのみならず来場者から熱い視線が注がれていたのが「ミニスカ」です。
ベースとなっているのはB110サニーのセダン
取材対象車両を探すべく、6A号館を練り歩いていたところ、正面にハコスカ(3代目「スカイライン」)を見つけた。旧車好きは誰もが足を止める車種ゆえに、筆者もつい引き寄せられ……。でも、近づいていくと、なんだかひとまわり小さいような……。車両紹介用のスペックボードを見ると、ハコスカではなく「ミニスカ」とある。
このクルマは果たして何者? と目を丸くしていると、
「これは2代目の日産サニーセダン(B110型)をベースに、オリジナルのボディキットでハコスカ風に仕上げたんですよ。ちっちゃいハコスカだから、ミニスカなんです」
と、製作した株式会社ダブラスの名倉哲明さん。
パーツの構成はボンネット/左右フロントフェンダー/グリル/左右ライトカバー/フロントエプロン/フロントバンパー/バックパネル/リアコンビランプ(これは汎用品)の10点だ。
じつは「サニートラック」(これもB110型)のフロントフェイスをハコスカ風に仕立てられるハコトラキットはすでに世の中で存在するが、セダンをベースにしたものは世界初。バックパネルもハコスカに見えるよう新規で製作され、オーバーフェンダー仕様ではなくナロー(ノーマルフェンダー)仕様にしたのもこだわりだ。いずれも完コピ&縮小するとバランスが悪くなったそうで、ハコスカに見えるよう造形を何度も手直ししたそうだ。
「ハコスカが大好きなので、本気でスケールダウンしたコピーを作るのではなく、あくまでもデフォルメカー。『こんなのがあったら単純に面白いよね』という感じで作り始めました。けれど、ハコスカに対してリスペクトもあるので、ボディキットは東京にある旧車のスペシャルショップ『カーサービスヒロ』さんへ製作を依頼しています」
すでにベース車となるB110型サニーセダンは70台ほど確保。提供できる体制は整えているというが、旧車ショップなら、その回答に疑問符が付くだろう。その理由はというと、じつは、国内中古車市場にB110型サニーセダンは現在ほぼ流通しておらず、70台を用意するのは現実的に不可能だからだ。では、ダブラスではどうしたのかといえば、海外で在庫をプールしているという。
「今回展示したクルマはパキスタンから持ち込みました。じつはパキスタンといった中東やアフリカに昔は日本国内で使わなくなったクルマが多く輸出されていました(現在は製造から3年以内のクルマのみ)。そうした国々には今も古い日本車が走っています。われわれの会社の本業は大理石や木材を世界各国から輸入している会社で、こうしたエリアとの取引があります。
ミニスカを企画したとき、中古車情報サイトや旧車専門ショップを探しましたが、見当たらず。発想から数年が経過してしまったんですが、偶然、貿易相手国のひとつであるパキスタンの街中をB110型セダンが走っているのを見かけたのです。もう、必死に追いかけて売ってもらったのがこのクルマ。その後、現地のエージェントに協力してもらい、確保できました」
と名倉さん。灯台下暗しとはまさにこのこと。しかもパキスタンは左側通行の右ハンドル車が走る国であったことも功を奏した。諦めなければ夢がかなうものだ。