ブレーキの雄エンドレスが運営している「130コレクション」
AMWでは「令和女子旧車に乗る」と題して、19歳で旧車好きの女性レーシングドライバー佐々木藍咲(らみ)選手にさまざまなクラシックカーに試乗してもらう企画を展開中。今回は長野県佐久穂町の「エンドレス130コレクション」で展示車両を試乗のまえに、まずはミュージアムを探訪することに。そこで今回は佐々木さんに130コレクションを思う存分見学してもらいました。
故・花里 功氏の長年の夢をかなえたミュージアム
そもそも130コレクションとは何か? 改めて簡単にご紹介しよう。ブレーキやサスペンションといったパーツを自社で開発・製造、また自社チームでモータースポーツ活動も行っている「エンドレス(ENDLESS)」が2021年3月にオープンした施設だ。
ここにはカフェと展示車両が集められたミュージアム、そしてレース車両のメンテナンスなどを行っているレーシングガレージが併設されている。展示車両はエンドレスがこれまでモータースポーツ活動を共にした車両はもちろん、創業者であり会長であった故・花里 功氏がコレクションしていた旧車たちが所せましと並べられている。この130コレクションの開設は花里 功氏の長年の夢でもあったのだ。130は「いさお」の語呂合わせとなっている。
「クルマは動くからこそ価値がある」という花里 功氏の考えのもと、ここに展示されている旧車たちは走行可能な状態にレストアされ動態保存されているのが大きな特徴だ。
カフェも本格的でドライブついでに立ち寄りやすい
そして併設されているカフェにもこだわりがある。こだわりのコーヒーは数種類が用意されていて、好みや気分に合わせてチョイスできる。スイーツは既製品ではなく、この場で作っている逸品だ。さらに一部メニューは、フードプリンターによって自分で持ちこんだ写真を表面に印刷することも可能となっている(もちろん食べられる)。佐々木さんはチーズケーキをチョイスし、彼女がマイカーとしているトヨタ「86」を譲り受けたシティオートのS30「フェアレディZ」を印刷してもらっていた。
「クリーミーでおいしいです! チーズ感が強くなくてクセがないのでいろんな人が食べやすいと思います!」
なお、チーズケーキの下にはエンドレスの隠れた人気商品である「旨MX72クッキー」が砕いて敷き詰められている。佐々木さんいわく、このチーズケーキとのマッチングも良好とのことだ。
一緒に注文したリンゴジュースも、エンドレスが所在する長野県の立科町・五輪久保という地域で育てられたリンゴだ。使用しているのはリンゴ畑に塩をまいて育てた「塩熟りんご」で、爽やかな香りが特徴となっている。佐々木さんはこのリンゴジュースも気に入ったそうだ。
他にもカフェスペースではエンドレスに関するグッズが販売されていたり、エンドレスのパーツを装着してモータースポーツシーンで活躍するマシンたちの写真が飾られていたりする。クルマ好きならばカフェスペースだけでも十分楽しめる空間なのだ。また、屋外にはターンテーブルが用意されていて、料金を払えば乗ってきたマイカーを回して撮影したりすることも可能となっている。
レース仕様のB110サニーは「ドンガラ内装の雰囲気がいいです!」
さてここからは展示車両の中から、とくに佐々木さんに刺さった旧車たちをご紹介していこう。ちなみに、130コレクションでは一般入場の人も、展示車両のドアを開けたりシートに座ったり、ステアリングを握ってみることもできる。スタッフに気軽に声をかけてみるといいだろう。
取材当日、「一番のお気に入り!」と彼女が熱く語っていたのが、レーシング仕様の日産B110型「サニー」だ。やはりレーシングドライバーだけあって、サーキットを生息地としているクルマに強く惹かれるのだろうか。
「今日見た中で一番好きなのもありますが、“このクルマに乗りたい!”という気持ちが強いのもあります。見た目で言えばやっぱりこのオーバーフェンダーが好きですね! 室内はドンガラでレーシングカー的な雰囲気がいいですね。あと最近旧車試乗をしていて感じるのですが、旧車独特のシンプルなセンタートンネルまわりから長く伸びたシフトレバーが特徴的な雰囲気を演出していますよね。これも旧車の室内で好きなポイントなのですが、このサニーはドンガラ内装でよりそれが際立っています」
このサニーは1970年代に富士スピードウェイなどで盛り上がりを見せていたTSレース仕様。ショーカークオリティでレストアされたTS仕様のサニーは、美しさと当時のモータースポーツ独特の雰囲気が融合した1台だ。