サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

「車の主流はロータリー車に変わる!」意気軒高な70年代マツダの旗手「カペラ」とは?【カタログは語る】

マツダのロータリー史で忘れてはいけないマスターピース

2023年に「ロータリーエンジンを発電機とする電動化技術を搭載したクルマ」として「MX-30 Rotary-EV」が登場、電動化でも同社の強みを生かしたユニークな取り組みが注目のマツダ。ロータリーエンジン搭載車としては、2012年に「RX-8」が生産終了して以来、じつに11年ぶりのことだ。

2023年にはロータリー搭載車の累計生産台数が200万台に到達

マツダはこの間、新しい時代に適合した最新技術として復活させることを念頭に、REの火を絶やさず研究・開発を続けてきたという。その成果のひとつが、MX-30 Rotary-EVに搭載された830cc×水冷1ローターで、型式は8C-PH型と呼ぶ。なお2023年にはロータリーエンジン搭載車の累計生産台数が200万台に到達、MX-30 Rotary-EVは数えて12車種目となる。

ご承知のとおり、西ドイツ(当時)のNSUバンケル社との技術提携をもとに、マツダがロータリーエンジンの試作第1号機を完成させたのが1961年のこと。さらに1967年、「コスモスポーツ」にマツダの市販車では初めてロータリーエンジンを搭載。以来、ロータリーエンジンを量産する世界で唯一の自動車メーカーとして今に繋がっている。

ちなみにコスモスポーツはスポーツカー然としたコンパクトなボディに、当時110ps/13.3kgmの491cc×2ローターの10A型を搭載。最高速度185km/h、0-400m加速16.3秒を誇った。この機会に、コスモスポーツ以降、MX-30 Rotary-EVよりも前までの11車種を改めて並べると以下のとおりである(各モデルとも初代とその発売日)。

・1967年5月:コスモスポーツ
・1968年7月:ファミリア ロータリークーペ
・1969年10月:ルーチェ ロータリークーペ
・1970年5月:カペラ(初代)
・1971年9月:サバンナ
・1972年11月:ルーチェ(2代目)
・1974年4月:ロータリーピックアップ(北米、日本名はプロシード)
・1974年7月:パークウェイ・ロータリー26
・1975年4月:ロードペーサー
・1978年3月:サバンナRX-7
・2003年4月:RX-8

1970年に華々しくデビュー

さて、そんなこれまでのロータリーエンジン搭載車の中で、4番目の車種として、「サバンナ」登場の前年、1970年5月に登場したのが初代の「カペラ」だった。この初代カペラが発売となった当時の筆者は小6で、自宅からコンパクトカメラを首からぶら下げ、自転車を走らせてディーラーの展示会に出向いた記憶がある。

小遣いなど潤沢なはずもなく、フィルムはもちろんモノクロだったが、パッシャン! とプリミティブなシャッター音が立つ樹脂ボディのパックカメラ・ハリーナで展示場(砂利敷きだった)で実車を写しては、運転席にも座らせてもらい、カタログをもらって帰ってきた。

だが、今回この記事のために確認したのだが、あろうことかその時にディーラーでもらったであろうカタログは発掘ならず。そこで今回写真でご紹介しているのは東京モーターショーのマツダのパンフレットと、かろうじてあったカペラ・マイナーチェンジ後のカタログから。

最高速190km/h、0-400mが15.7秒と圧倒的なスペックを誇った

第17回東京モーターショーのパンフレットでは、この年の市販車ではトップの扱いで、「70年代に車の主流はロータリー車に変わる!」のヘッドコピーのあるページでは、ロータリーエンジン搭載の先行者だったコスモスポーツ、「ルーチェ ロータリークーペ」、「ファミリア ロータリークーペ」とともに掲載されている。

写真のオレンジ色のカペラは登場時クーペのイメージカラーで、REのバッジと丸型4灯テールランプがわかるセダンの後ろ姿とともに紹介。スペックは、ロータリーエンジン(573cc×2)、120ps、190km/h(セダンは185km/h)、0-400m加速15.7秒(クーペ、2人乗車時。セダンは15.8秒)と記載されている。

モーターショーのパンフレットはもう1部、第18回のものもあり、こちらでは丸型4灯ヘッドライトのGシリーズ(後述)の写真が載せられ、その下には新登場となった初代サバンナの懐かしい姿も載っている。

1974年にはGシリーズが発展して「2代目」に

カペラ単独のカタログはGシリーズになってからのもの。表紙には当時の排気ガス規制のレベルを表わす「51年適合」の文字があるところから、1975年10月のものと思われる。マツダの資料では、1974年2月登場のこの世代を2代目としており、初代に対して公害対策と冷却性能向上のためにノーズ部分を110mm伸ばしたほか、新たに4連メーターが備わるインパネの採用なども変更点だった。

もちろんこのカタログにもロータリーエンジンの紹介がされている。この時の12A型ロータリーエンジンは最高出力が125ps/6500rpm、最大トルク16.5kgm/4000rpmとあり、トランスミッションは3速ATと、マニュアルミッションについてはセダンGRII/クーペGSIIが5段、セダンGR/クーペGSが4段と、2つのマニュアルトランスミッションが設定されていたところも見逃せない。

モバイルバージョンを終了