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アストンマーティンのエンブレムは「鳥」じゃなくてマクラーレンのは「鳥」だった!? 自動車メーカー紋章の意外なトリビア【動物編】

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of RM Sotheby's/STELLANTIS /AMW

マクラーレン

今やスーパーカー専業メーカーとして確たる地位を築いたマクラーレンの源流は、ル・マン24時間レースやF1GPでも活躍したレーサー、ブルース・マクラーレンによって、1963年に創立されたレーシングチームまで遡ることができる。

マクラーレン・チームは、ブルースの母国であるニュージーランドの国鳥「キーウィ」をモチーフとした「スピーディ・キーウィ」ロゴを1967年から採用。これが現在のマクラーレンのエンブレムの祖先となった。

さらに1997年には、マクラーレン社内のデザインチームによって「スピーディ・キーウィ」がさらにシンボリックかつシンプルなデザインへと進化。「スピード・ブランド」と呼ばれる、現在のエンブレムへと発展することになる。

ヴォクスホール

1903年から自動車生産に参入した老舗ながら、日本に正規輸入されなくなって久しいヴォクスホールも、動物(ただし架空の)をエンブレムに掲げるブランド。その社名は、創業時の工場が設けられたロンドン近郊ランベスの地名に由来する。

この地には13世紀のジョン王時代に軍人として勇名を馳せた、貴族ファーク・レ・ブレアントの城跡があり、古くは「ファークス・ホール」と呼ばれていたのが徐々に訛ったとのこと。軍旗を掲げたグリフィン像を象ったエンブレムも、ブレアント卿の旗印をモチーフとしたものという。

アバルト

1949年、イタリア・ピエモンテ州トリノ市内のヴィア・トレカーテ通り10番地に創業した「アバルト&C.」社は、直前に経営破綻した「チシタリア」の工場施設やスタッフを継承した会社である。

そのエンブレムにサソリが掲げられている理由は、開祖であるカルロ・アバルトの誕生日が、さそり座に相当する11月15日だったからとされている。

いっぽう、ファンの間では馬(フェラーリ?)や豹(ジャガー)のような巨大な動物を、毒針ひとつで刺すサソリをイメージしたのでは……? との見方もあったようだが、それは辣腕のビジネスマンであるカルロが、もとより狙っていたものとも考えられる。

プジョー

1810年、プジョー兄弟による金属加工業からスタートし、自転車生産を経て19世紀末から自動車生産にも乗り出したプジョーは、前身まで含めると現存する自動車メーカーの中でも最古のブランドとして認知されている。

メーカー側の公式見解によると、有名なライオンのエンブレムは発祥の地であるフランス東部フランシュ・コンテ地方の中核都市、ベルフォールの貴族の紋章に由来するとのこと。中世から紛争が絶えなかったこの地域では、人々はいつしか勇敢なライオンに思いを託すようになった……、と伝承されている。

そしてプジョーも、自社の鉄製品の強さや品質の高さを表現するために、強靭な牙を持つライオンをエンブレムに掲げるに至ったとのことである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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