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かつてのアルフィスタが最新「トナーレ」に乗ってみたら…紛れもないアルファ ロメオの走りに「1台ください」と言ってみたくなりました

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)

バッテリー残量がある限り、積極的にEV走行をする

で、試乗車貸し出しの予定にようやく余裕が出来たとのことで、先の年末年始にかけてトナーレを借り出し、実際に自分の生活の中で乗って試してみた。

すると、なるほど、と思った。試乗車はプラグインハイブリッドのQ4ヴェローチェで、まず前提として新車の車両価格が740万円と十分に高価格車だということ。なのであれこれ思いのままに自分で手を加えるというよりも、吊るしでそのまま乗るほうがスマートだ。装備、仕様は十分だし、幸いにも全幅1835mmと扱いやすいボディサイズだから涼しい顔をして乗っていられる。

類型的なSUVのスタイルを大きく外していない外観は、息を飲むほどの個性は薄い。けれど前後の灯体に特徴を持たせる(クルマのオン/オフでメーターにも動画で描写される)などしているところが粋。試乗車はヴェズヴィオグレーと呼ぶダークグレーで、筆者の自宅の隣近所にも同系色のSUVのレクサス、マツダのCX系×2台が生息しており、一見するとどれも似た風だが、アルファ ロメオのグレーは光の加減で黄色が浮かび上がったりと、凝った色調であることが発見できた。

インテリアは“ふた山”のメーターフードがスポーティで156(や1960年代の各車)を思い起こさせる。同様に12.3インチデジタルクラスターメーターをアナログ表示にした際の放射線状の向きに数字を並べたクラシックな盤面になるのも心憎い。それとドライバーズシートが上出来で、身体をキチンと支えてくれ、長距離でも途中1度も姿勢を直さずに座っていられた。今やステアリングが上を向いていたりせず、ペダル類も(フットレストを含め)気がつけばごく自然なリーチなのは、かつてのアルファ ロメオを思うと感慨深い。

今回は日常使いということで、わが家の愛犬のシュン(柴犬:2歳)と家内を乗せ、ドッグランや買い物へも出かけた。かれこれ20年近く前、独身だった頃にはアルファ ロメオに犬を乗せてドライブするなど想像もしなかったこと。だが、筆者がアルファ ロメオ・ファンだと知ってか知らずか「ふーん、トナーレってこういう乗り味なんだ」と、まんざらでもない表情で後席に乗車していた(ように見えた)。

試乗車は「Q4」だが、現代のそれは後輪を適宜モーター(128ps/25.5kgm)で駆動する方式の電子制御4WD。パワートレインは1331ccの4気筒ターボ(180ps/27.5kgm)で、トランスミッションは6速ATの組み合わせだ。動力性能ではもちろん不満はなくマナーも自然で、バッテリー残量がある限り、積極的にEV走行も実行してくれる。

ただし標準のドライブモード切り換えでは、あえて最高の“d”を選び、このモードでのみ切り換え可能な足をソフトにし直接的なショックを緩和すると、クルマの加減速の感覚が掴みやすく、かつ乗り味が穏やかにできるためシュン(犬)を乗せている場合には運転がしやすかった。

コーナーにさしかかり、ステアリング上の切れ角で言うと90度から180度にかけてのスウーッ! としなやかに気持ちよくクルマが向きを変える様は、「おお、アルファ ロメオだ」と思わせられる場面のひとつ。もしも今「1台ください」と言える立場にあるなら悪くない選択肢だ、と思った。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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