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ジープ「ワゴニア」が予想以上の740万円! アメリカン・クラシックSUV人気が欧州にも波及しはじめた!?

ジープ「ワゴニア」が予想以上の740万円! アメリカン・クラシックSUV人気が欧州にも波及しはじめた!?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

約740万円で落札! ヨーロッパでもクラシックSUV人気は定着か?

最初期のジープ・ワゴニアでは、2ドア版やボディ後半部をガラス窓ではなくパネルで構成したバンモデルなどのボディが用意され、FR駆動およびパートタイム4輪駆動から選択することができた。

そんななか、このほどRMサザビーズ「PARIS」オークションに出品されたワゴニアは、1965年3月に初登録され、「トルネード」ストレート6に3速コラム式マニュアルトランスミッションが組み合わされた、4輪駆動の4ドア・ステーションワゴン仕様である。

「ホワイト・キャップ」のボディカラーに「シルヴァン・グリーン」のインテリアを持つこの個体は、古い時代の来歴などについては明かされていない。しかし、オドメーターが「5万5746km」を示していることから、この個体がアメリカやイギリスなどのマイル表示を採用する国ではなく、しかも左ハンドルをデフォルトとするヨーロッパ大陸のいずれかの国向けに製造されたことを示唆している。

また近年では、2010年9月にスイスで登録されて以来の来歴は判明しているが、このクルマを十分に楽しむためには、ブレーキ・システムのリビルドと整備が必要であることに留意すべき、との注意書きがカタログ内に添えられている。

現在のSUVの元祖としては、1965年デビューのフォード初代「ブロンコ」の名が挙げられることも多いが、こちらはジープのピックアップトラック「クラディエーター」の派出モデルとしてではありながらも、その2年前から登場していたことになる。

そのような歴史的価値を有するとともに、初期型ワゴニアとしては望ましい4輪駆動版のこの先駆的なアメリカンSUVは、日常使いに適したクラシックカーとして、またアメリカでは人気の高い「カー&コーヒー」のようなライトなミーティング型イベントでも会話のきっかけとなりそうな、ちょっと魅力的な存在となるだろう。

RMサザビーズ欧州本社は、出品者である現オーナーとの協議のうえ、3万~4万ユーロのエスティメートを設定。競売において最低落札価格を設定しない「Offered Without Reserve」とした。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、金額を問わず確実に落札されることからオークション会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が進むことも期待できる。ただしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、落札を止められないというリスクも持ち合わせる。

そして迎えた2024年1月31日の競売では、エスティメート上限を大幅に上まわる4万6000ユーロ、日本円に換算すると約740万円という、出品者側にとっては予想以上の高値で落札されることになった。

このハンマープライスは、より高年式のグランドワゴニアの相場も2倍近く上まわるものであり、ここ数年のクラシック・クロスカントリー/SUV人気が北米のみならず、ヨーロッパにも波及していることを証明する結果となったようだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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