高級サルーンのような乗り心地
試乗車のV8には、エアサスペンションが装備されていたため、オンロードではまさに高級サルーン並みの乗り心地が演出される。ディフェンダーは2019年のフルモデルチェンジで、かつてのラダー式フレームにアルミニウム製ボディという組み合わせから、モノコック形式へと基本設計を変更しているが、それによる剛性感の向上もこの乗り心地には良い方向で表れているのだろう。
コーナリング時の動きは、3000mmを超えるホイールベースということもあり、比較的穏やかなものに終始するが、それでもこのエアサスペンションが常に最適な姿勢を生み出してくれるので、安心感は高い。しっかりとした手応えを伝えるステアリングの正確さもまたコーナーでは大きな魅力。オフロードではどれほどのキックバックを感じさせられるのかと、逆に心配になったくらいのフィーリングだった。
今回は残念ながらオフロードでの試乗は叶わなかったが、その代わりに搭載される5LのV型8気筒スーパーチャージドエンジンの性能はフルに楽しむことができた。最高出力で525ps、最大トルクでは625Nmを発揮するこのエンジンは、8速ATとの組み合わせで重量級のボディを0-100km/hで5.4秒。最高速では240km/hを可能とするもの。アクセルペダルを軽く踏み込んだ瞬間から感じる厚みのあるトルクは、オフロードでも十分な扱いやすさを感じさせるに違いない。
ちなみにエアサスペンションを装備する、このディフェンダー110のオフロード性能は、最低地上高で29mm、アプローチアングルが38度、ランプブレークオーバーアングルが28度、デパーチャーアングルは40度というもの。渡河水深は900mmを実現し、最大牽引力も3720kgを誇る。それはまさに陸の王者と称しても良い1台なのである。