フェラーリ512モデューロの実車が展示!
もう1館、イタリア館も同様だった。クルマ以外に一体何を見たのかまるで覚えていない。やはりアメリカ館同様にとんでもないインパクトだったのだと思う。イタリア館にあったのはピニンファリーナのフェラーリ「512モデューロ」だった。他にはバイクのMVアグスタも。モデューロの横に古いクルマの展示もあったが、そんなものはどうでもよかった。とにかくカッコ良かった。
あの頃、ちょうど自動車雑誌に夢中になっていて、モデューロはすでにジュネーブショーでお披露目されたものを見ていた。黒と白に塗られていたものが、目の前にあるモデューロは鮮やかな白一色に変えられていた。のちにこのクルマはフェラーリP4を所有するジェームス・グリッケンハウスが購入し、現在はニューヨークのナンバーをつけて、時々オンロードを走っているというから驚きである。
というわけで万博に対する興味は途中から「全部見よう」から「クルマを探そう」に移ったような記憶もある。当時まだ18歳で免許を取ったか取らないかという時期。海外など行ったこともなく、海外の食事の経験もない。
一番ビックリしたのはアメリカ館の外でテキサスのステーキを食べさせるところがあったのだが、畳2畳分はあろうかという巨大なオーブンの上に所狭しと巨大ステーキを置いて焼いていた。しかも呆れたのは焦げてしまうと片っ端から捨ててしまうことだ。あれほど驚いたことはない。同時になんていう国なんだとも思った。アメリカ初上陸はそれから15年ほど後であるが、やはり初上陸した時もその広大さやモノの豊富さに呆れ、こんな国に戦争を仕かけるなんて。ほんと「井の中の蛙」と思ったものである。
良い悪いはともかく、それ以来アメリカという国に興味を持ったことは確かである。戦争を経験した両親はいまだにアメリカが大嫌いだが……。
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