レーシングカー風なスーパースポーツモデル
ドイツのケンプテンに本社を構え、VWやアウディ、スペインのセアトが展開するキュプラ・ブランドのモデルをチューニングするレーシング・コンストラクターのABTスポーツライン。同社が「公道走行が可能なレーシングカー」、そして「われわれの伝統の神髄」とまで言い切るスーパースポーツカーのABT「XGT」を発表しました。
99台限定で販売される
彼らがいうスーパースポーツカーとはエモーショナルでエキサイティングな存在であると認める一方で、さらなる興奮が得られるのはレーシングカーの世界のみと断言。同社のDTMチームの協力を得ながら、約2年間にわたる複雑な開発プロセスを経て、ABT史上最も高性能でエクスクルーシブなコンプリートカーを作り上げた。レーシングカーのようにスタイリッシュな「XGT」は、今後99台の限定生産を予定する。
伝統的なレーシングチームとして、ABTスポーツラインは2000年以降、DTMだけでも300を超えるレースに参戦し、多くの個人優勝と250を超えるポディウムを獲得してきた。その実績はXGTのような野心的なプロジェクトを進めるには最高の前提条件といってよいだろう。
だがそれは単なるプロジェクトではなく、挑戦そのものだったとABTスポーツラインの代表であるハンス・ユルゲン・アプトは語る。そもそもABTスポーツラインのマネージング・ディレクターであるトーマス・ビアマイヤーと、シェラ―・スポーツのエルンスト・クリスチャン・シェラーの発案によってスタートしたXGTのプロジェクトだが、レーシングカーを公道へと導くためには、克服しなければならないさまざまな困難な課題が待っていた。
具体的には約40の個別承認が必要となり、数カ月に及ぶその承認プロセスは従来の車両開発の常識を超えたものだった。そのハイライトでありカスタマーが最も強く望むのは、レーシングカーであるアウディ「R8 LMS GT2」との違いがわずかであること。
XGTはレーシングカールックのスーパースポーツカーではなく、あくまでもオンロード走行可能なレーシングカーなのだと説明すれば、その困難を克服しなければならない意味も十分に理解していただけると思う。