涙ぐましいまでに上級装備てんこ盛り
装備といえばインテリアの紹介ページでも、当時らしい雰囲気が伝わってくる。間けつワイパーや、ウインカー(レーンチェンジャー)、ライト、パッシング、ハイビームなどの機能を1本のレバーに集約したマルチユースレバー、防眩式インナーミラーなど、その後の乗用車では当たり前の装備も、まだ出始めの頃だったから、わざわざ写真付きで紹介している。
またFMラジオ付きカセットステレオも懐かしいが、放送局をボタンでプリセットする方式(ボタンを引き起こした後に押し込むとプリセットできた)AMラジオもさらに懐かしい。インパネは角型メーターが並ぶデザインで、グレードによりスピードメーターと、同じ大きさでアナログ時計が並んでいたりと、これも1970年代のインパネらしい。
またニットファブリックシート、前2席フルリクライニングシート、後席ハイバックシート、ドアトリムまで貼りつめた高級カーペット、トランクオープナーなど、涙ぐましいくらい(!)に上級車らしさをアピールする装備の数々が搭載、紹介されているのも、シャルマンというクルマの打ち出しを物語っている。
前後重量配分はなんと50.5:49.5
もちろんメカニズムの紹介も最後のほうにしっかりと載せられていた。当時の昭和51年排出ガス規制に適合した1400ccc、1200ccの各エンジンのところでは当時は必ず載っていた性能曲線のグラフがあったり、意外といっては失礼ながら、なんと前50.5:後49.5の前後重量バランスの話なども。前輪がストラット式コイルバネ、後輪が半ダ円板バネのサスペンションについては「やわらかい乗りごこちです。」とあり、じつはこの部分も小川知子が紹介している体になっていた。
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余談ながらここまで書いてきて思い出したのだが、当時わが家は祖父と暮らしていて、その祖父のところに定期的に往診に来てくださった地元の開業医の先生が、このシャルマンに乗ってやって来たのだった。
祖父の枕元で座敷に置くとクタッとなる相当に使い込んだ革のダレスバッグを開けると、中から聴診器をとり出しながら「お加減はいかがですか?」と物静かな口調で祖父に問診を始める先生。途中からは息子さんの運転で見えるようになったが、どこかアンダーステートメントなシャルマンを選ぶところがこの先生らしいなあ……と、往診中の後ろ姿を見ながら思ったものである。