公道では異様な雰囲気「レーシングカー」の実力をさらけだす911 GT3 RS
モータースポーツ由来の最新テクノロジーやコンセプトを取り入れた、公道走行可能なレーシングカーというべきポルシェ「911」の高性能モデル「GT3 RS」。リアウイングをはじめ、公道では禍々しいまでの雰囲気を漂わせていますが、公道ではそれらの真価を発揮できるのでしょうか。
スタイルから装備まで「レースイメージ一色」
写真で初めて見たとき思い出したのは「934/5ターボRSR」のビッグウイング付きだった。それほどリアウイングが巨大に見えたのだ。はたして実物の911 GT3 RSと対面してみれば、その想像以上の大きさに思わずのけぞってしまった。
聞けば市販ロードカー用のウイングとしてはポルシェで初めて「ルーフより高い位置までそびえている」のだそうである。スワンネック型ステーで長さこそ抑えられたとはいえ、これほど大きな突起物を背負った姿はもはや一般道を走っていいクルマにはまるで見えない。
それだけじゃない。タイヤは一般道の路面が場違いのように大きく、しかもその大きさを持て余すかのように前後のフェンダーは「中途半端」に切られている。ルーフにはフィンが走っているし、見渡せば多数の穴が穿たれて、国道の上でこの雰囲気は流石に禍々しい。サーキットに帰れ! と叫びたくなった。
乗り込んでみれば室内はさらにレースイメージ一色だ。シートは2つしかなく、リアにはカーボンのロールケージが見える。いかにも軽そうなバケットシートに座ってシートベルトを締めると、なんだか戦闘機にくくりつけられた気分になった。
ハンドルには4つもダイヤルがある。向かって右から順にドライブモード、ESC/TC、PTV(電子制御LSD)、PASM(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)だ。さらに左側のステーにはポルシェの市販車として初めて装備したDRS(ドラッグリダクションシステム)のスイッチも備わっている。インストゥルメンタルパネルのタコメーター左右にサスペンションの設定状況が、そしてセンターディスプレイには各種のセッティングが反映されて……。
いやはや、操作や確認方法を覚えるだけでもひと苦労だ。もっとも、これらを使いこなすレベルにまでなれば、サーキットでこのマシンを「水を得た魚」のように走らせることができるのだろう。習熟のプロセスは究極の趣味になりうる。
最新の知見を惜しみなく盛り込んだエアロダイナミクスとシャシー&サスペンション制御のきめ細かな連動こそRS最大の魅力というわけだが、もちろんその心臓部もまたマニア垂涎のもの。4Lの自然吸気フラット6エンジンは525psに達した。これに専用のギア比(短め)をもつ7速PDKを組み合わせている。
車両内容について書き始めるとどんどん字数を増やしてしまいそうだ。概要は掴んでいただけたとして、インプレッション(といってももちろん公道レベルだが)に移ろう。