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軽自動車で気軽に楽しむ「東北660ターボGP」の参戦車両の作り方をお教えします! 初心者から経験者まで歓迎の敷居の低い草レースの魅力とは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • もっとも手軽な3クラスはブーストアップまで、タービン交換は車両規則で認められていない。チューニングは吸排気とECUがメイン
  • ブーストだけでなく燃調や点火時期なども変更できるECU。オートクラフトは代表的な軽自動車のほとんどをラインアップしている
  • 補機類の変更はクラスを問わず自由だ。オートクラフトのHA36用エアインテークダクト、インタークーラーエアガイドは装着率が高い
  • ターボ車は油温や水温が上がりがち。ターゲットとするコースや走る時期を考慮し、オーバークールにならないよう注意しつつ対策を
  • 足まわりの変更は自由。ほとんどのエントラントは車高調を使っており、オートクラフトもオリジナルのHA36用やS660用を設定する
  • S660の泣きどころがブレーキ。オートクラフトの大径ローターはフロントのディスクをベンチ化し、耐久性を大幅に向上させている
  • タイヤはセミスリックが禁止。3クラスのパワーなら極端なサイズアップは抵抗が大きく、立ち上がり加速などが遅くなる可能性もある
  • 全クラスともボディ幅は軽自動車の枠に収まっていなければならない。太いタイヤを履くためのオーバーフェンダー装着は不可となる
  • オートクラフトのヒット商品であるオリジナルのダクトは、エンジンルームの熱がよく抜けると高評価だ。FRP製とカーボン製を用意
  • オープンカーじゃなくともロールケージは装着しておきたい。なお装着車と非装着車では与えられるシリーズポイントにも違いがある
  • バケットシートと4点式または6点式のフルハーネスは、安全性に加え正しいドライビングポジションを作るためにも欠かせない装備
  • オイルレベルゲージの抜けを防ぐストッパー。レースでは必須のアイテムで、オートクラフト製は車名が入りドレスアップにも貢献する
  • コースアウトした車両をスムーズに救出するために欠かせない牽引フック。前後とも社外品を使って位置を示すステッカーも貼るべし
  • 写真はS660のリア。オートクラフトではトーループと装着するプレートをセットにした、オリジナルのトーイングキットを開発した
  • シートベルトは正しく装着しないと安全どころか逆効果になってしまう危険性も。オートクラフトではS660用のHANSバーを発売中だ
  • 自社パーツの開発を兼ねて東北660ターボGPに参戦するオートクラフト。HA36系アルトとS660に関するノウハウは特に豊富だ

東北660ターボGPの3クラスに参戦するには?

2023年も大いに盛り上がった軽自動車のレース、東北660シリーズ。ドリフトや練習会を含めると合計6つのカテゴリーに分かれていますが、そのなかで一番いい意味で「ユルい」カテゴリーが「東北660ターボGP」です。このカテゴリーに参戦するための車両製作のポイントを解説します。

ブーストアップが基本でマシンも仕立てやすい

「東北660ターボGP」は、過給器が付いた軽自動車なら、新規格・旧規格の区別なく、またNAエンジンに過給器を後付けした車両も参加でき、レギュレーションの自由度もそれなりに広いのが特徴。純粋なレース好きや腕を競い合いたいユーザーはもちろん、自慢の愛車でレースの雰囲気を味わいたい人も大歓迎のレースだ。

そんな東北660ターボGPに多彩なマシンを送り込む、埼玉県のプロショップ「オートクラフト」に、タービン交換が認められず車両製作のコストがもっとも安い3クラス仕様の作り方を聞いてみた。オートクラフト代表の日向さん自身が長きにわたって参戦し、とくにHA36型スズキ「アルトワークス」やホンダ「S660」のノウハウを豊富に持っており、サーキットで開発したオリジナルパーツも数多く発売している。

エンジン系は規則でタービン交換が認めらず、吸排気とECUによるブーストアップが定番。インタークーラーなどの補機類は自由なので、予算が潤沢ならそこまで手を付けてもいいが、もっと注意すべきは冷却系のキャパシティだ。ターボやスーパーチャージャーは当然ながら発熱量が多く、春や秋はまだしも夏は水温や油温がかなり上がってしまう。ぶっつけ本番で東北660ターボGPに挑むのではなく、事前にテストしてどこまで強化が必要か判断しよう。

オートクラフトでは現行型およびそれに近いHA36アルト、S660のほかLA400型ダイハツ「コペン」で入念なデータ取りを行い、チューニングの内容と走るコースに合わせた冷却系のメニューを提案してくれるので、不安な人は相談を。

足まわりとブレーキは基本的に自由で、車高調もアーム類の変更も問題ない。参加している車両を見てみると大半はパッド交換のみ、ただしS660はフロントブレーキの消耗が激しいようで、日向さんは経験を活かしオリジナルのローターを開発している。ブレーキに風を送って冷却するダクトも効果的だ。

エアロは大前提として、軽自動車の車幅を超えないこと。そこさえ守ればバンパーの交換も軽量ボンネットも、ダクトを加工して埋め込むようなワザも認められる。タイヤとホイールはフェンダーからはみ出さなければOKで、サイズは自由だがいわゆるSタイヤは使うことができない。多くのユーザーはブリヂストン・ポテンザRE-71RSやヨコハマ・アドバンネオバ、最近ではシバタイヤもちらほら見かけるようになった。

シートベルトの装着不備などが多いので要注意

そして重要なのは安全面。バケットシートと4点式や6点式のシートベルトは言わずもがな、ロールケージも車両規則書では強く推奨と明記されている。なお2023年から追加されたスポーツランドSUGOでは、6点式を超えるロールケージ(車種によってはフロント4点式が認められるケースも)がないと参加できない。そう遠くないうちにエビスサーキットも必須となる可能性が高く、そもそも自分の大切な身体を守るために欠かせない装備なので、今から車両を作る人は何よりも優先させるくらいの心構えを。

シートベルトの装着方法

ほかに普通の走行会と異なるのは前後の牽引フック、オイルレベルゲージやフィラーキャップの抜け止めなど。牽引フックはコースアウトしたときスムーズに救出する必須アイテムで、近年は軽く他車に接触しても危険のない布製が主流となっている。

これらの装備は取り付ける場所や方法にもルールがあるので、規則書を熟読してもわからなければオートクラフトをはじめ、東北660に参戦しているプロショップで確認してもらおう。とくにシートベルトは取り付けの方法や場所に不備があり、レース当日の朝に行われる車検で指摘されるケースが多い。自分が楽しいはずのクルマ遊びでケガをしないよう、そしてイベントの円滑な進行を妨げないためにも、プロに頼るべき部分は頼って安全なクルマを製作しよう。

もう少しパワーが欲しくなればタービン交換が認められる、1クラスまたは2クラスにステップアップするのもアリだ。より手軽なのは100ps以下に限定される2クラスで、ハイフローなど小さめのタービンが該当する。

ドライバーの経験や車両の改造レベルに合わせた1~3クラス、さらに2ペダル限定の4クラスも設定されている東北660ターボGP。2024年もエビスサーキット西&東コースと、スポーツランドSUGOで開催する予定だ。例年どおり第1戦は3月下旬なので早めに準備しておこう。

■取材協力
オートクラフト
https://www.auto-craft.jp

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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