始動時のブオンは燃料を多く噴射するため
昭和でよく見かけた、絶滅作法のひとつがエンジンを切る前の吹かし。具体的にはアクセルをあおって、ブオンと回転が上がったときにキーをオフにするというもので、スポーツカーを中心によく見かけたものです。最近は見かけなくなりましたが、あらためてキーオフ時にアクセルをあおっていた理由と現代車でも始動時にブオンと回転数が上がる理由を解説します。
かつてのキーオフ前のブオンは無意味だった?
ブオンとやる目的というか意味としては、エンジンに残った燃料を使い切るためとされていて、今思えばまったく根拠もなにもない行為だったように思う。ただし、やった感は十分あって、とくにキャブレター車は「なんか中に残っている感」があったので、やるとスッキリした気がしたものだ。
ということで、現在はまったくと言っていいほど行われていないブオンも、エンジンを始動したときはどんなクルマでも行っている。もちろん燃料を使い切るわけではなく、始動時に点火しやすいように燃料を多く噴射しているからで、エンジンをかける一瞬だけ高くなるのはこのため。ただ、かかってからも少々回転数が、いつものアイドリングよりも高いのはファーストアイドルと呼ばれる状態で、エンジンが早く暖まるように行っている。
一瞬、ブオンとなった時点でエンジンをいたわるための暖機(さらに言うと慣らし)の意味が薄れるように思えるが、仕様がそうなっているので避けようがない。なので、この問題は別にしておいて各部が膨張してパーツ同士のすき間が規定のクリアランスになったり、オイルが暖まって行き渡るには暖機は必要な行為だ。これは昔も今も変わらない。
暖機終了の目安はエンジンのアイドリングが落ち着くまで。停まったままだとけっこう時間がかかって環境にもよろしくないし、そもそも停まったままだとミッションなどの暖機はできないので、よく言われるようにゆっくり走って行うのがベストだ。
停止していないとファーストアイドリングがいつ終わるのかわからないのでは、と思うかもしれないが、水温計の針が動き出したり、警告灯が消えるのは同じくらいなので、走っていてもいつ暖機を終了させていいのかはわかりやすい。
いずれにしても、当時は効果があったとしても燃料マネージメント技術は飛躍的に進化。冒頭で紹介したようなエンジン切るときにブオンと吹かすような時代ではもはやないのだ。