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アンフィニ「MS-6」は「クロノス」の派生モデルだった! 今思えば贅沢な2種類のV6エンジンを設定していました【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎七生人(SHIMAZAKI Naoto)

日本車離れした洗練されたスタイルは魅力のひとつだった

なおカタログの図面でクロノスとMS-6のサイズの違いを確認すると、ボディサイズは全長4695mm×全幅1770mmが同じ、全高はクロノスの1400mmに対しMS-6のほうが10mm低い1390mm。一方で室内空間については、4ドア&5ドアの両方の用意があったフォード テルスターの4面図で確認すると、座面から天井までの高さがセダンに対し5ドアは前席で-10mm(935mm)、後席で-30mm(865mm)の差となっており、室内長も5ドアのほうが30mm短い数値(1860mm)になっていた。

室内幅(1450mm)、シートサイズ(後席で座面前後長=500mm、幅1295mm)は5ドアもセダンも同じなので、スタイル(ルーフ形状)の違いがそのままパッケージングの違い、居住空間の差になっていたことがわかる。

とはいえやはりMS-6といえば、当時としては日本車離れした洗練されたスタイルは魅力のひとつだった。5代目カペラのようにドアガラスをガイドピンで支える方式(当時アウディからパテントを買ったと聞いた憶えがある)こそ採用していなかったがガラスとボディの段差の小さいスムーズな表面処理の6ライトウインドウや、無用なキャラクターラインのないすっきりと豊かなボディ面など、なかなか上品なものだった。

さらに5ドアの見せ場だったのが、ボディスタイルと完全に一体化したリアスポイラー部。見かけ上はボディ(リアゲート)だがよく見ればウイング状にし、その下が抜いてある巧みな形状でリアウインドウから流れてくる空気をさばくようにしてあった。テルスターTX5もリアコンビランプ、ガーニッシュのデザインは異なったが、スポイラー部分はMS-6と同形状に仕上げられていた。

それともうひとつ、小型・軽量設計のV6エンジンの搭載もMS-6の売りのひとつだった。

しかも今にして思えば非常に贅沢なことに、同じV6で2L(1995cc)と1.8L(1844cc)と排気量違いで2機種のV6エンジン(ボアは異なりストロークが同じ)が設定されていたのだった。同時期のV6ではMX-6などに搭載した2.5L(2496cc)もあったが、この時期のマツダは、ファミリア系のランティスにも2LのV6を搭載したり、上級のセンティアには縦置きのV6(2.5Lと3L)を搭載するなどしていたが、V6エンジンの採用で、ノイズ、振動が少ない、より上質なパワーフィールを求めていたのだった。

MS-6については1992年3月に2Lの直列4気筒エンジン搭載の4WDを設定、翌1993年3月には2Lディーゼルも追加している。とはいえ残念ながら販売には結びつかず、1994年12月には国内販売を終了した。登場から3年あまりと短い販売期間がじつに残念……今でもそう思えるクルマだ。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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