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イタリア旅行で行ってみたい、クルマ好きなら死ぬ前に1度は訪れたい場所をお教えします! 屋上のテストコースは圧巻です【週刊チンクエチェントVol.31】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: Stellantis N.V/嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)

  • 往時のリンゴット工場全景。まだ操業してるときには、当然ながら玉ねぎ型の会議室もヘリポートも、アニェッリ絵画館もない
  • 旧リンゴット工場は、近代的な流れ作業をスムーズに行うべく、こうした効率的な生産ラインが敷かれていた。おそらく1940年代のヒトコマ
  • ラインに乗ってるのが1100Dだから、1960年代前半のカットか。こうしたラインの流れ方が通用していた時代
  • 完成車はこうして屋上のテストコースで走行チェックをした後に輸送に回される。このコースでは一度に50台が走行できたそうだ
  • 現在のリンゴット。旧リンゴット工場をはじめとしたフィアットの歴史的な施設は、今では様々な企業のオフィスなどに活用されている
  • 旧リンゴット工場の下階の一角。屋上にある施設にアプローチ刷るための案内だ
  • La Pista 500。目の前の通路は旧テストコースの路面内側。玉ねぎ型の会議室と、その向こうはヘリポート
  • 空中庭園にはおよそ300種類、4万本の植物が植えられている
  • こちらもLa Pista 500。外周路に立つと、遮るもののない絶景を臨むことができる
  • 空中庭園からアニェッリ絵画館と、その一部に設けられたCasa 500を臨む
  • 外周路にから見たトリノの街並み。視界が開けていて気持ちいい
  • 中央に見える建物は、フィアットの旧ヘッドクォーター。これも歴史的な建造物だ。現在は確かIT企業が使用しているはず
  • テストコースのバンクは、実は思いのほか傾斜が強く、登ることは禁止。なので、薄いブルーの遊歩道を歩いてくれ、と係の人に注意された
  • 下階での工程が終わるとこのループで上階へ……という流れで、かつてはクルマが作られていた
  • Casa 500に入ると、木製とチンクエチェントがお出迎え
  • 一角にはチンクエチェントを模したソファも
  • ダンテ・ジアコーサが描いたといわれてるドローイング。どうやら本物らしい
  • 壁には半分スケルトンになった、初期型のヌォーヴァ500の模型が埋め込まれている。模型ではあるけど、使ってる部品はもちろん本物
  • イタリアン・デザインの美しさが評価された工業製品が紹介されてるエリア
  • ショーケースの中には、ヌォーヴァ500用の貴重な純正パーツなども展示されている
  • こちらはポスター・コレクション。どうやら複製のようだけど、それでも目が楽しい
  • こちらはアニェッリ絵画館の一角。マティスが並ぶ
  • ショッピングモールをグルリ回ると、その距離およそ1km。テナントは種々雑多なので、冷やかしながらの散歩もなかなか楽しいだろう
  • 最上階はおよそ32m。地面が遠く見える。それにしてループそのものが芸術的
  • デジタル処理のない時代、木製のモックアップはスタイリングの最終確認からボディパネルのプレス型製作までの役割を担っていた
  • ゴブジ号の近況について述べておくと、基本、調子はよくて気持ちよく走ってくれるのだけど、バッテリーが……

フィアット好きなら訪れたいリンゴット

名古屋の「チンクエチェント博物館」が所有するターコイズブルーのフィアット「500L」(1970年式)を、自動車ライターの嶋田智之氏が日々のアシとして長期レポートする「週刊チンクエチェント」。第31 回は「イタリアに行くなら絶対に寄りたい場所その2」をお届けします。

旧リンゴット工場は現在複合施設になっている

さてさて、お話を元に戻す前のお話に戻すことにしよう。……んっ? 何だかちょっとおかしな言い回しのような気もしないではないけど、まぁいいや。そう、2023年の春にひさびさに訪れた、トリノに行くなら絶対に訪ねるべく場所、パート2である。

トリノといえばフィアットで、フィアットといえばリンゴット。訪ねるべきはリンゴットなのだけど、リンゴットって何だ? という方もおられることだろう。

リンゴット(=Lingotto)とはトリノ市内にあるひとつのエリアの名前であり、熱心なフィアット・ファンにとってはほとんど聖地のようなところ、だ。なぜか。そこには第1次世界大戦が終わって数年後に完成したフィアットの巨大自動車工場が、今も歴史遺産として残されているからだ。

フィアットの旧リンゴット工場は、創業者であるジョヴァンニ・アニェッリ1世によって計画され、1916年に建設が開始され、1923年に操業を開始。1982年に閉鎖されるまで、長きにわたってフィアットとフィアット・グループのクルマを生み出し続けた。

この工場が特徴的だったのは、まずは凄まじく巨大だということ。全長500mオーバー、全幅80mオーバーの5階建てで、完成したときには欧州最大級の工場だった。それに製造のためのラインがとってもユニークなのである。一番下のフロアでの原材料の加工からスタートし、パートごとに組み立て・組み付けを行い、そのフロアでの工程を終えるとビルの片側の端にある螺旋状のスロープで上階へ、またそこでの工程を終えるとスロープで上階へ……というラインが組まれていて、屋上まで上がると、そこは両端にバンクのある1周1.1kmの楕円形の走行テストコース。走行に支障がないことが確認できたらビルの逆側のスロープで下へと搬出され、輸送用の鉄道基地へと回される。なかなかよく考えられていたのだ。

そのあたり、画像ギャラリーにて軽く補足してあるので、よかったらチラと見てみていただきたい。

旧リンゴット工場はクルマの生産拠点としての役目を終えても解体されることはなく、イタリアを代表する建築家のレンツォ・ピアノの案で、巨大なビルを維持しながら別の役割を持つ施設へと変貌していく。屋上にはドーム型の会議室とヘリポートが設けられ、ショッピングコンプレックス、シネマコンプレックス、オフィス、ホール、ホテルなどが入った複合施設となり、今に至っている。

数年前まではショッピングや映画を楽しんだりホテルに宿泊したりといった使い方ももちろんだけど、往時の佇まいを残した屋上のテストコース跡地もたしか市民に開放されていて、コースでランをする人や散歩をする人を見かけたものだった。

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