雪が残るワインディングでもしっかり感じられたZの進化
以前AMWに書いた日産「フェアレディZ」の試乗記事。その時の内容を大まかに言えば「ベースとしての素性の良さを感じるからこそイジりたい! と思う1台。NISMOがどんな進化をするのか気になる」といった内容でした。それから半年以上が経過し、日産が毎年行っている女神湖試乗会(2024年は温暖で氷上は走れず)の周辺で、雪が残る路面ながらフェアレディZ NISMOに試乗する機会を得ることができました。
低速域から感じるスポーツカーらしい雰囲気
今回の試乗シチュエーションは積雪が残るワインディングが中心となりましたが、ノーマルのフェアレディZに試乗した時に求めていたものが、実現しているか否かを確認することはできました。結論から言えばあの時感じた「チューニングしてもっとスポーツカーらしい雰囲気を出したい」という要望が実現されている乗り味に仕上がっていました。
低回転域でもV6らしい重厚なサウンドが心地よい音量で車内に入ってきて、「ハイパワーなスポーツカーに乗っている」と感じさせてくれます。スポーツカーの性能をフルに発揮できるのなんて本当にわずかなシチュエーションしかありません。
いろいろな意見があるかもしれませんが、エンジンサウンドや低速域でのドライブフィールなど、日常域からスポーツカーを感じられる雰囲気。それもスポーツカーにとって重要な要素だと思います。
ワインディングで感じるノーマルモデルからの進化
そしてワインディングに入ると以前よりもシャープさが増したステアリングフィールに好感触を受けます。以前乗った初期のノーマルモデルは低速域だとややダルに感じましたが、低い速度でもドライバーの入力に対してしっかりと反応を示してくれるスポーツカーらしいフィーリングへと進化していました。
またワインディングで驚かされたのがトランスミッションです。ノーマルモデルよりもシフトレスポンスが高められた9速ATは、パドルシフトによる操作に対してストレスなく反応してくれてダイレクト感があります。NISMOにはATしか設定されていないため、残念に思った人もいるかもしれませんが、この専用チューニングされたトランスミッションならばよほどのMT党でない限り、不満は少ないことでしょう。
街乗りでの快適性も失われていない
スポーツカーらしい雰囲気がグッと高まっていたことを認識できたフェアレディZ NISMOでしたが、街乗りでの快適性といった部分も失われてはいません。ドライブモードを変更すればトランスミッションは1500rpm前後で変速していき、必要以上のエンジンサウンドを車内に響かせることはありません。街乗りの速度域で5速にまで入ってしまうのには少し驚かされました。
また乗り心地に関しても荒れたギャップのある路面を通ってもそれほど不快に感じることはありません。
GT性能が高いと感じたフェアレディZにチューニングカーの雰囲気が加えられたフェアレディZ NISMO。乾いたドライ路面とサマータイヤでの走りの良さを期待してしまうとともに、全体的な雰囲気が「GT-R」に近づいた。そんな印象を受ける1台に仕上がっていました。