システム総計で963psを実現
パワーユニットは、ラ フェラーリにとっての最大の見どころ。ミッドにはまず6262ccのV型12気筒自然吸気エンジンが搭載され、7速デュアルクラッチ・トランスミッションと第1のエレクトリック・モーターを一体成型。さらに第2のエレクトリック・モーターをエンジン前方に配置し、こちらはリチウムイオン方式の二次電池に接続され、減速時にはジェネレーターとして機能する。
ちなみに「HY-KERS(運動エネルギー回生システム)」と呼ばれるハイブリッド・システムは、エレクトリック・モーターのみでの走行はできない。また最高出力はV型12気筒エンジンが800ps、これにエレクトリック・モーターの163psが加わり、システム総計で963psが得られる計算だ。
もちろんパフォーマンスも驚異的なものだ。車重はわずか1255kgに抑えられていることもあり、0-100km/h加速は3秒以下(フェラーリによる公称値、実際には2.6秒が記録されている)、最高速は350km/h以上に達する。フィオラノ・サーキットでのラップタイムは、エンツォからさらに5秒を短縮したという。
その一方でCO2排出量では333g/kmと、ほぼ「458」シリーズに相当する数字を実現しているのだから、10年以上も前に誕生したハイパーカーであるとは信じがたい。
今回RMサザビーズのパリ・オークションに出品されたラ フェラーリは2016年に製作されたモデルで、ビアンコ・アヴスという珍しいボディカラーと、ネロ・アルカンターラのインテリアを持つ仕様。
スポーツエキゾーストやフロントサスペンションのリフトアップ機構、テレメトリー&トラックカメラパッケージ、統合オーディオシステムが装備され、さらにレッドのブレーキキャリパーや、ブラックペイントの20インチ径ホイールなどが追加されている。
現在までの走行距離はわずかに9km。2020年と2022年にはフェラーリ・ディーラーによるメンテナンスが実施されており、2021年には新しいハイブリッド・バッテリーを、2022年にはフェラーリが推奨するリチウムタイプの補助バッテリーを装着するなど、コンディションは最新スペックだ。
RMサザビーズが設定した予想落札価格は370万~480万ユーロ(邦貨換算約5億4020万円~7億80万円)。その落札価格には大きな注目が集まったが、最終的にプライスボードに表示された数字は395万ユーロ(同5億7670万円)というものだった。フェラーリのスペチアーレ、その人気の高さは変わらないようだ。