蒲郡で初めてのラリー開催。果たしてその評価は?
20年にわたって開催されてきた新城ラリーに代わり、「RALLY三河湾2024 Supported by AICELLO」が全日本ラリー選手権第1戦として2024年3月1日~3日に愛知県蒲郡市とその周辺で開催となりました。詳細をレポートします。
3日間で5万人の来場者を数えた
全日本ラリー2024シーズンの開幕戦には、全クラス合わせて90台がエントリーした。JN-2クラスに勝田範彦/木村裕介組、奴田原文雄/東 駿吾組、そしてヘイキ・コバライネンに代わって今回スポットで参戦することになった田口勝彦/北川紗衣組の3組がGRヤリス ラリー2で参戦。さらにJN-2クラスに若手育成カテゴリーとなる「MORIZO Challenge Cup」が組み込まれ、ここに8名の若手ドライバーが挑戦するなど新たな仕組みも取り入れられるシーズンとなった。
今回設定されたSS(スペシャルステージ)は、隣接する岡崎市、豊川市、幸田町をまたぐ距離の長い山間部のコースと市の中心部に近い短いギャラリーステージを組み合わせ、初日に7つ、2日目に6つのSSが用意された。山間部のステージの、側溝が深く狭いコースは落ち葉などの堆積も多く、どの選手にとっても初めてのコースということもあってサバイバル戦となることが当初から予想されていた。
そして迎えた競技当日は、「三河のからっ風」と呼ばれる、冬のこの地方特有の北西の強風に、雪もちらつくこともあった寒い週末に。ラリーを前に金曜日の夕方にはJR蒲郡駅の駅前に設けられた特設ステージでセレモニアルスタートも行われ、多くの市民とラリーファンが見守るなかで実施された。
競技は最初のSSとなるSS1ヒメハル(6.51km)では、JN-1クラスの車両が出火したこともあって、多くの車両が走行キャンセルとなり10番手以降の選手には同一タイムが与えられる展開からスタート。SS6幸田遠望山ショート(3.45km)でもJN-1クラスの新井敏弘/井上草汰組が、側溝にタイヤを落としてリタイアを喫するなど厳しい戦いが繰り広げられることとなった。競技2日目も、SS11キズナで看板の設置位置がレッキ時と変更となったことによるミスコースが頻発したことからステージキャンセルもあった。
初日から、SS1でトップに立った勝田組と、今回のラリーがほぼマシンのシェイクダウンだという新井大輝組がベストを取り合う展開となったが、新井組の猛追を受けながらも、最終的にはトップの座を譲ることのなかった勝田組が優勝。2023年のプロトタイプではなく、ホモロゲーション取得モデルとしてのGRヤリス ラリー2での全日本ラリー選手権初勝利を手にすることとなった。
シーズン開幕戦にして初開催となった「RALLY 三河湾」では、世界ラリー選手権参戦中のドライバー勝田貴元選手と、モリゾウ選手こと豊田章男氏(トヨタ自動車会長)がデモンストレーションランを行い、初開催ラリーに華を添えた。サービスパーク周辺には、周辺地域のブースや企業ブース、さらには飲食関連の出店も多数あり、家族連れやカップルでにぎわってい、この3日間で5万人の来場者を数えることに。
蒲郡市の鈴木寿明市長は次のようにコメント。
「本当にたくさんの皆様のご尽力により、このRALLY三河湾が開催でき、ご協力に感謝しています。各会場を回ってきましたが、それぞれの会場でクルマ好きのファンの皆さんがラリーカーが疾走する”非日常”を楽しんでいらっしゃいました。また、お子様が沿道で手を振って応援している姿も見かけました。われわれは駆け出したばかりですが、新城ラリーから引き継ぎ、一歩一歩モータースポーツの文化を育てていきたいと考えております。蒲郡市として環境を整えていけるよう、今大会は終わったばかりですが、すぐに課題を集約して、1つ1つ解決しながら、来年を迎えたいと思っています」