2名乗車でも2人分のゴルフバッグは余裕
では実用性はどうか。
今回も過去に何度も登場している知り合いのKくんに手伝ってもらい、昨今ブームとなっているゴルフをテーマにキャディバッグを載せてみた。正直なところ、ゴルフバッグは乗らないだろうなあと思っていた。なぜなら、リアシートはお世辞にも座りやすいとは言えず、子どもが短い距離で乗るなら問題ない一方で大人が乗ると……。
しかし、ラゲッジスペースの容量は、VDA方式で4名乗車時が荷室床面長240mm(荷室開口850mm)だが、リアシートを倒すと980mmを実現し、室内幅は1300mmと想像よりも広い。ひょっとして入るかも? なんて疑いながら、実際にキャディバッグをラゲッジに載せると、友人のバッグサイズは8インチ(1180mm×300mm)だが、あっさりと入った。
ただし、リアシートを倒したままの状態では、バッグが固定できないためズルズルと動いてしまう。なので、今回はリアシートを元に戻してから載せてみると横Gでも滑り落ちてくることなく、無事に収めることができた。つまり8インチほどの荷であれば、2名乗車で2人分のバッグとシューズや着替えなどが入ったボストンバッグも問題なく入ることがわかった。
Kくんにもジムニーの印象を聞いてみた。
「カクカクしたデザインがカッコいいね。丸目のライトもどこか懐かしい感じがする。助手席に乗って移動した印象は、揺れは大きいけど、ジムニーだからって思うと気にならないかも。もっと乗り心地が悪いと予想していたけれど、そんなことがなくて普通に乗用車みたいで驚いた。でもシートのサイドサポートはもう少しあるといいかな。それから、自分はゴルフが趣味だから、荷室に保護剤を貼ったり、荷物の出し入れをしやすいように自分流にカスタムをしても面白いかもね」
と、想像以上に印象が良かったKくん。ただし、口を合わせて「う~ん」と思った点がひとつだけあった。それはドリンクホルダー。助手席側はあまり問題がないかもしれないが、センターコンソールに用意される純正のドリンクホルダーでは、ドライバーは体を左にねじらないと手が届きにくい。アフターパーツでエアコンの吹出口に装着できるようなアイテムが必須だと感じた。
せっかくなので、知り合いの免許を取ったばかりの大学生数名にもジムニーの印象を聞いてみた。
「レトロなデザインが可愛い」、「乗ってみたい」、「自分好みの1台に仕上げられるのがいい」
といった、意外にもジムニーの存在を知っているような回答だった。
と、いろんな意見を聞いて、あらためてじっくりエクステリアを見ると、筆者もまたいろいろとカスタム欲がムラムラと。例えば、バンパーの丈をもっと短くしたい、車高はあえて下げてもいいかも……? 背面タイヤのカバーデカールも変えたい、なんて……。ジムニーは、どんなイベント会場に行っても今もカスタムが熱い1台。自分で手を加えたり、自分流の使い方をしたり、自分流のスタイルを実現したりなど、これまでミニバンやセダンでカスタム&チューニングをして遊んでいたクルマ好きでも妄想するだけで1日を楽しむことができてしまう魅力もある。
朝から撮影を含めた試乗はいつの間にか夕方になり、あっというまの1日だった。アドレナリンが出すぎた今日の疲れをとるために、風呂に入りたいと思った。どこへ行こう……と考えたとき私は急に「MISA(ミサ)」に会いたくなった。
「MISA」とはサウナ本場フィンランドの「コンパクト」なサウナストーブ。このところ日本でも導入されることが多く、自宅サウナやテントサウナ、サウナカーといったコンパクトな室内でもしっかり温めてくれる実力を発揮するストーブとして注目を浴びている。
そのMISAに会いたくなったのはきっとジムニーに近しい接点があるからでは……。そう考えて、軽自動車であるジムニーの「コンパクトなボディ」とジムニーの特性が活かせるからこそ辿り着くことができる、狭い路地を通り抜けた先にある行きつけの銭湯へ向かうことにした。
1938年創業で透かし彫りの七福神が出迎えてくれる北千住のタカラ湯はキングオブ縁側で有名な足立区の銭湯だ。水曜日だけ男女入れ替えデーの同店には、女湯にしか用意されていないお目当てのサウナがあるのだ。ギリギリ4人入れるかどうか……のコンパクトなサウナ室に採用され温めているのは、前述のフィンランドで生産しているMISA製のサウナストーブ。
このストーブは、コンパクトながら十分なパワーを発揮。さらに湿度を上げたいときは、セルフロウリュが可能で、1杯かけるだけでアチアチな室内へと変わる。それはまるで、街なかでも十分なパワーを発揮する一方で、山遊びをすると行った場面でもトランスファーレバーで駆動方式を切り替え本領発揮するジムニーのようなもの。その姿が、個人的には似ていると思った。
なんて事を考えながらサウナ→水風呂→休憩を何セットかしながら「ジムニーはひょっとするとディープな趣味を持つ人ほど、人生を豊かにしてくれる素敵な相棒なのかもしれない」などという結論に達したのである。