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現行のアルファ ロメオ「ジュリア」に約2000万円のプレ値! 新車価格よりも高くなった「レーシング・エディション」とは

12万750ユーロ(邦貨換算約1970万円)で落札されたアルファ ロメオ「ジュリア クアドリフォリオ アルファ ロメオ・レーシング・エディション」(C)Courtesy of RM Sotheby's

F1カラーのアルファ ロメオ ジュリア

近年のスーパーカーや高級車業界においては、限定車ビジネスが大きなウェイトを占めています。そして、それらのモデルが新車としての販売から間もない時期からコレクターズカー市場に出回る事例も、今では珍しいものではなくなりました。今回はクラシックカー・トレードショーの世界最高峰、パリの「レトロモビル」期間中にあたる2024年2月1日に、RMサザビーズ北米本社がパリ市内で開催したオークション「PARIS 2024」に出品された、現行型アルファ ロメオ「ジュリア クアドリフォリオ」をベースとするコスメチューン限定車「アルファ ロメオ・レーシング・エディション」をピックアップ。そのモデル概要とオークションレビューについて紹介します。

F1参戦記念のリミテッドエディション

伝統の「ジュリア」の名が40年以上の時を経て2015年6月に復活したことは、同時にアルファ ロメオが、スタイリッシュなプレミアムサルーンのカテゴリーへと復帰したことも意味していた。

さらに「クアドリフォリオ(四つ葉のクローバー)」のエンブレムを冠した最上級・最高性能モデルは、メルセデスAMG「C63」やBMW「M3」、あるいはアウディ「RS4」など、主にドイツ勢のライバルに挑むことを意図して、2015年秋のフランクフルト国際モーターショーにて初公開された。

そして約3年半ののち、2019年シーズンからアルファ ロメオが待望のF1復帰を果たすことを記念して、同年のジュネーヴ・ショーにおいてジュリア クアドリフォリオの「アルファ ロメオ・レーシング」限定モデルがワールドプレミアに供されることとなる。

日本仕様では「F1 トリビュート」と命名されたこの限定モデルは、2019年シーズンのF1グリッドに並んだレーシングチームの「C38」を彩っていた「トロフェオ・ホワイト」と「コンペティツィオーネ・レッド」の2トーンのリバリーを反映したカラーリングをまとうとともに、F1参戦のパートナー・ザウバーとの共同開発によるというカーボンファイバー製ボディワークにアクラポヴィッチ製チタンエキゾーストシステム、カーボンセラミックディスクブレーキなど、特別な装備が満載されていた。

ノーマルのジュリア クアドリフォリオと比較すると、この限定モデルは28kg軽量化されるかたわら、フェラーリの関与をアピールするV6ツインターボエンジンには専用のチューニングが施され、標準型クアドリフォリオの510psから 520psへと最高出力をアップさせていた。

いっぽうインテリアは、スパルコ製レースシート、アルカンターラとレザーで縁取られたステアリングホイールでスパルタンに設えられながらも、ハーマンカードン社製のプレミアムサウンドシステムなども装備される、豪華な一面も兼ね備えていた。

驚きの約1970万円は、新車価格よりもアップ

このほどRMサザビーズ「PARIS 2024」オークションに出品されたジュリア クアドリフォリオ「アルファ ロメオ・レーシング・エディション」は、ドイツ在住の個人オーナーのコレクションに所蔵される1台とのことである。

添付されるサービスブックによると、2023年ドイツ・グレーベンツェルのアルファ ロメオ正規ディーラーである「Sportautohaus Schusterschitz」社によってメンテナンスが施され、その時点でオドメーターは4869kmを指していた。そして、オークション公式WEBカタログ作成時の積算マイレージも、いまだ5990kmに過ぎない。

限定生産のスペシャルパッケージ仕様車、さらにローマイレージという好条件を兼ね備えたアルファ ロメオ ジュリア クアドリフォリオ「アルファ ロメオ・レーシング・エディション」は、アルファ愛好家を魅了すること間違いない。

そんなうたい文句を添えつつ、RMサザビーズ欧州本社は出品者である現オーナーとの協議のうえ、7万~9万ユーロのエスティメート(推定落札価格)を設定。競売においては最低落札価格を設定しない「Offered Without Reserve」とした。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、金額を問わず確実に落札されることからオークション会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が進むことも期待できる。ただしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、オークションを停止できないという二律背反的リスクも持ち合わせる。

そして迎えた2月1日の競売では、エスティメート上限を3万ユーロ以上も上回る12万750ユーロ、日本円に換算すると約1970万円という、驚きの高値で落札されることになった。

ちなみに日本における「F1 トリビュート」は限定で6台のみ、1459万円で発売されたとのこと。もちろん円安の影響による変動があるとはいえ、今回のハンマープライスは当時の新車価格を遥かにしのぐどころか、クアドリフォリオをさらなる高性能志向にブラッシュアップして2021年に登場した限定車「ジュリアGTA」(2064万円)、および「ジュリア GTAm」(2198万円)の国内販売価格にも近いものとなったのである。

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