低中速域でのトルク感に驚かされる
センタースクリーンを上下2段方式とし、ほとんどの操作をここから行う仕組みであるのは、毎日の生活の中でこのクルマを使用していけば慣れる問題なのだろうが、さすがに短時間の試乗では、視線の移動量が大きく必要以上のスイッチ操作を行う気持ちにはなれなかった。そういえば、かつてマセラティ車に備えられていたアナログ式の時計も、文字盤は今ではデジタル表示に改められている。
グレカーレ GTに搭載されるエンジンは、2Lの直列4気筒直噴ターボ。それに48Vのマイルドハイブリッド機構(ベルトドリブンスタータージェネレーター=BSG)を組み合わせたものだ。同車のラインアップには同パワーユニットを搭載する「モデナ」も用意されているが、最高出力はGTが300psであるのに対して、モデナは330psと大きな差はない。ちなみに現在のトップグレードはV型6気筒3Lユニット、すなわち「MC20」譲りのネットゥーノエンジンを530psで搭載する「トロフェオ」。そして近くBEVの「フォルゴーレ」が追加される予定となっている。
それらと比較するとGTの300ps/450Nmというスペックは、一瞬物足りないようなものに感じるかもしれないが、実際の加速性能はやはり低中速域でのトルク感に驚かされる。回転は高速域までスムーズで、BSGとターボがじつにうまく協調してその感覚を作り出しているといった印象だ。
4つのドライブモードが選択可能
車重は1930kgもあるモデルだが、そのハンデは日本の一般道や高速道路で感じることはまずないだろう。アクセルペダルを強く踏み込めば、野太い排気音とともにグレカーレ GTは確実に車速を高めていく。
フロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクを採用したサスペンションの動きにも十分な正確さがある。このGTグレードでは「GT」「オフロード」「コンフォート」「スポーツ」の4つのドライブモードが選べるが、そのセレクターはステアリングの右スポークにある。
一般的なドライブなら「GT」か「コンフォート」が、最も乗り心地に落ち着きがあってよい。ボディ剛性の高さももちろんこの快適な乗り心地に貢献する大きな理由。ミドルクラスSUVの市場に新たなチョイスが現れた。これからSUVを検討している方には、ぜひご一考いただきたい1台である。