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マツダ「MX-6」は国産2ドアクーペの五指に入るスタイリッシュさだった! 惜しむらくは4年に満たず終売となったこと【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)

  • クロノスをはじめとした、同時期に誕生した言わば兄弟関係にある車種のなかで、唯一の2ドアスペシャルティクーペであった
  • それまでの国産2ドアクーペの中でもスタイリッシュさにかけて5本の指に入るといっていい、優雅で流麗なフォルムだった
  • 項目ごと「表題」にすべて発音記号付きのイタリア語を使いながらの紹介していた
  • V6エンジン(2.5Lと2Lの2機種)を搭載していた
  • 4WS(電子制御車速感応型4輪操舵システム)を全車に標準搭載していたこともトピックスのひとつ
  • 低音から高音まで安定した音圧を作り出す独自のアコースティック・ウェイブガイドを用いた6.5インチスーパーウーファーを採用したBOSEの専用オーディオもマツダ車らしいアイテムのひとつ
  • 空気抗力係数CD=0.31と数値が記され、全車にリアスポイラーを標準装備しリアのダウンフォースを確保していた
  • 1994年12月で日本市場向けの生産が終了となってしまった
  • 内装色は黒系統で落ち着きのある雰囲気だった
  • 1992年に登場したマツダ「MX-6」は、クロノスをベースに専用のボディを与えられた1台

わずか4年で生産終了となったモデル

1992年に登場したマツダ「MX-6」は、「クロノス」をベースに専用のボディを与えられた1台です。同時期に発売されたクロノスの兄弟車の中でも唯一の2ドアスペシャリティクーペでした。そんなMX-6のカタログは欧州風味でスタイリッシュでした。

カタログは「魅せる」絵作りになっていた

「New V6 Modern」……カタログの表紙にそんなフレーズを掲げて1992年1月にマツダから登場したのが「MX-6」である。ページをめくると最初に目に飛び込んでくるのはヴィンテージレッドのMX-6と「ラテンの旋律。」の文字。それまでもマツダ車というと、日本車の中でも走りもスタイルも欧州調……とくにドイツ車風味のクルマが多かったが、このMX-6ではやや趣を変えてみた、といったところか。長いが最初のページを引用しておこう。

「生きる歓びに、ひたすらまっすぐ突き進む。きょうの愉しさを、自分でどんどん切り開く。そんなラテンの生き方にも似たおおらかなスタイルを、もっと歓迎しようじゃないか。謳うように、軽やかに生きようじゃないか。ひとが輝く一瞬に、最速で向かいたい。甘美なV6の旋律と、あざやかなフォルムのコラージュ。マツダMX-6」

弾けたというより、いかにも精神の解放の謳歌に誘うような(?)、そういう文面も決して嫌いではない筆者をして照れてしまうようなコピーだった。

さらにカタログを見ていくと、しばらく外観、内装の大写しの写真が続く。その次からは、項目ごと「表題」にすべて発音記号付きのイタリア語を使いながらの紹介ページへ。PASSIONE(情熱)=エンジン/サスペンションなどのメカニズム関係、CANTARE(歌う)=オーディオ、FELICITA(幸福)=ボディ/装備……といった風にまとめられていた。

もともとこの頃のマツダ車のカタログは縦×横がスクエア(MX-6の場合は285×285mm)なサイズで、どの車種もアートな装丁を特徴としていた。その中でもMX-6は、石造りの建造物を背景にヴィンテージレッドのMX-6が佇む光景であったり、なかなか「魅せる」絵作りになっていた。もちろん全体に落ち着いたトーンの「絵」のなかでMX-6の姿がクッキリと際立ってみえたのはいうまでもない。

このMX-6で何といっても特徴的だったのは、クロノスをはじめとした、同時期に誕生した言わば兄弟関係にある車種のなかで、唯一の2ドアスペシャルティクーペであったという点。もちろんそれは、前身にあたる「カペラ」にクーペがあったため、その後継車の役割を果たすためでもあった。

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