エキゾーストシステムに999Kメッキが施された仕様を選べる
往年の250LMさえイメージさせるスポーティなスタイリングと、革新的なハイブリッド・テクノロジーの搭載で、フェラーリファンのみならず、スーパースポーツのエンスージアストまでをも魅了した「フェラーリ296」シリーズ。そのクーペ・バージョンである296GTBをベースに、ドイツのノビテックがさらにスタイリッシュでスポーティなチューニング・モデルをリリースしてきました。
クリアコート仕上げのノビテック製のボディパーツを採用
まずはフェラーリ296GTBについて、その特徴を簡単に説明しておこう。最初にそのスタイルは250LMにも似ていると書いたが、その特徴が最も強く受け継がれているのはリアフェンダーまわりのダイナミックな造形だ。296シリーズにはほかにリトラクタブル・ハードトップを備えるGTSがラインアップされるが、ピュアスポーツとしての硬派なイメージは、やはり250LM同様クーペの方が強い。
リアミッドに搭載されるエンジンは、120度のバンク角が設定された3LのV型6気筒ツインターボ。エキゾーストシステムやターボなどはこのバンク角が生み出すスペースに効率的にレイアウトされる。
V型エンジンとターボの組み合わせで、よく「ホット・インサイドV」とも称されるシステムだ。その最高出力/最大トルクは、エンジン単体で663ps/740Nm。これにエレクトリック・モーターが組み合わされ、それによるブーストを受けた場合の最高出力は830psにまで向上する。組み合わされるトランスミッションは8速DCT。0‐100km/hを2.9秒で加速し、330km/hの最高速までその加速は続くというのが大まかなスペックだ。
ノビテックはこの296GTBに、よりスリリングなエクステリアを与えることに成功した。クリアコート仕上げのノビテック製のボディパーツは、風洞実験によって高速走行時のダウンフォースを増加させ、操縦安定性を向上させることを確認済みである。
サスペンションは2タイプを用意
これらとマッチするように組み合わされたホイールは前後異径で、フロントは21インチ、リアは22インチとなる。ちなみにこのホイールは、近年ノビテックと提携関係にあるアメリカのVossen製。「NF11」と呼ばれるもので、最先端の鍛造技術とCNCマシニングによって製造され、さらにさまざまな表面仕上げと72色のカラーバリエーションが用意されている。ノビテックのコイルオーバー・サスペンション、もしくはスポーツ・スプリングとの組み合わせによって、ノーマルの296GTBを超えるダイナミックなハンドリングが実現する。
フロントに255/30ZR21、リアに335/25ZR22サイズのロープロファイルタイヤを装着することを前提にセッティングされたサスペンション・アイテムは、前でも触れたとおりコイルオーバー・サスペンションとスポーツ・スプリングの2タイプ。
前者は車高と減衰力をマルチに調整できるもので、フェラーリのフィオラノ・パッケージの有無にかかわらず装着が可能だ。日常的な実用性を最適化するための機能も加わっており、フロントの車高は最大で約40mmそれを高めることができ、スイッチをもう一度押すか車速が80km/hに達すると自動的に元の位置に戻る。
パワーユニットは、排気システムの改良などによって、さらに38psのエクストラをエンジンで得ることに成功。したがって最高出力は868psにまで向上し、さらにダイナミックな走りを楽しむことができるようになった。
エキゾーストシステムはステンレス製とインコネル製の両タイプが用意されており、後者では999Kメッキが施され、さらに最適な温度制御が行われる。これまでさまざまなモデルをデビューさせ、フェラーリ・チューニングのメジャー・ブランドとしての知名度を得てきたノビテック。はたして彼らが次に選ぶチューニングの素材は、いったいどのモデルなのだろうか。