宝の持ち腐れにもなりかねない
サンルーフ、ガラスルーフを装着するとどうしても車内の天井部分に厚みが必要になり、室内高が低まってしまうことがある。トヨタ「ハリアー」の場合、室内高は標準ルーフが1215mmのところ、パノラマルーフ付きは1185mmになる。逆に、ホンダ「ヴェゼル」のパノラマルーフ装着車は室内高が非装着車に対して15mm増すのだが、これは例外だ。
また、ガラスや電動部品、補強部品などで車重が増し、僅かとはいえ燃費に影響することもないとはいえず、さらにガラスルーフの場合、冬にはありがたい温室効果が夏は車内の暑さに影響することもあり、夏はシェードを閉めっぱなし……という宝の持ち腐れにもなりかねないのである。
TBSのTVドラマ『不適切にもほどがある!』でも話題の昭和の時代なら、物珍しさからサンルーフ、Tバールーフはモテグルマの必須アイテムだったはずだが、美容を気にしすぎる現代の女子には「肌や髪にとって紫外線は大敵」という理由などで、あっても開けにくい事情もあったりするだろう。
令和でもイケてるガラスルーフ
ただし、令和の時代でも、イケてるガラスルーフがある。それが、トヨタ「ハリアー」が採用した調光パノラマルーフだ。調光ガラスそのものは2012年にメルセデス・ベンツ「SL」が採用しているが、国産車としてはハリアーがおそらく初めて。2枚のガラスの間に挟んだフィルムによって、瞬時に調光・透過が可能になる。
スイッチを押せば電動シェードが開き、調光パノラマルーフが透過(光を通す)状態になり、調光スイッチによって光を遮る調光状態(障子越しのような柔らかな光の透過になる)になるという魔法のようなガラスルーフなのだ。
紫外線99%、赤外線90%以上をカットしてくれるとともに、音声操作でも瞬時の調光・透過の切り替えができるのだから、これはもしかしたら令和のクルマの、女子ウケ抜群な「調光マジック」が車内で披露できる神器のひとつになるかも知れない。もっとも、”クルマでモテる”という時代は、残念ながら、とっくに終わっているんですけどね。