NAの軽自動車で争われる人気レース
東北660シリーズの始まりであり、14年目を迎えた東北660選手権。2023年12月10日にスポーツランドSUGOで開催された特別戦、そして2022年に始まったHA36カップの第3戦を振り返りつつ、今シーズンの有望株などをチェックしてみよう。
2023年の特別戦を振り返りつつ2024年シーズンを占う
東北660選手権の特別戦は1名、または2名のドライバーによるセミ耐久レースとなる。エントリーは1~5クラスを合わせて57台、今回がデビュー戦のドライバーも多かった。
東北660選手権は1クラスから5クラスまで設定されている。各クラスに参戦できるマシンとクラス分けは、大まかに下記の通りだ。
1998年(平成10年)10月以降に製造された、新安全衝突基準に適合している軽自動車で、自然吸気エンジンを搭載した車両。新車時と異なる型式のエンジンに換装した車両の出走は、公認車検の取得に関わらず認めない。
【カテゴリー】
1クラス:公式レース経験者や上級者など
2クラス:3クラスで4回以上の表彰台を獲得した者
3クラス:レース経験の少ない者、久しぶりにサーキットを走る者など
4クラス:2ペダル車両
5クラス:車両は1〜4いずれかのクラスに適合していること
1クラス:2&3クラスで猛威をふるった細田が年間王者に
1クラスは数年ぶりにシリーズチャンピオンから陥落した、ベテランの11号車 アベが1分52秒410でポールポジション。しかし背後には90号車 新関 透と21号車 大塚 猛/織田大輔がおり、いずれもストレートの伸びはアベのHA23V型スズキ「アルト」を上まわる。
インターバルではやや弱気な発言もみられたアベだが、決勝はスタートを決め加速に勝る2台を抑え続ける。8周目にはトップを走行中でスリップストリームを使えない状況ながら、1分51秒931というコースレコードを叩き出してポール・トゥ・ウィン。公式レースの経験も豊富なベテランが多い1クラスだが、昨年は3クラスと2クラスで圧倒的な速さを見せた細田駿也が、特別戦こそ不参加ながらシリーズチャンピオンを獲得した。
彼の活躍に刺激を受けた若手がステップアップするとのウワサもあり、アベや大塚をはじめとする常連組はますます気合が入りそう。
2クラス:ピット作業をうまくまとめた小松/茂木組が優勝
2クラスはシリーズのライバル同士である、154号車 小松日高/茂木勇輝がポールを獲得する。0.05秒の僅差で2番手となったのは200号車 石川颯人、そこから0.6秒差で787号車 安彦 司/高橋智紀が続く。
決勝はドライバー交代もうまく決めた小松/茂木が独走して優勝。準優勝は石川で3位は予選4位から76号車 大越 拓がジャンプアップした。なお今シーズンは3クラスから岩塚眞澄ら上位陣が2クラスへのステップアップを宣言しており、ハイグリップタイヤを履いた彼らが現在の2クラス勢にどこまで立ち向かえるか楽しみだ。
3クラス:86号車竹中がぶっちぎりの優勝
大激戦の3クラスでポール・トゥ・ウィンを決めたのは、今季エンジンブローで悔しい思いをした86号車 竹中康平。予選では1分56秒009と2クラスでも上位となるタイムを記録し、決勝も後続を寄せ付けずぶっち切りのトップチェッカーだった。
2位は377号車 岩塚眞澄/阿部優翔、3位は775号車 良川勇司/大越海斗。既述のとおり上位グループの数名は2クラスに上がるため、今シーズンはまたもや新たなヒーローの誕生が予想される。
4クラスは7号車大森/猪又組、5クラスは66号車 太田/相原組が優勝
4クラスはポールポジションこそHA36型アルトの7号車 大森宣正/猪又真輝だが、2番手には3速ATのエッセを駆る67号車 鈴木 茂/遠藤正樹が食い込む。決勝も上位2台はポジションの変動がなく、3位にはHA36の169号車 菅原武/高杉俊太郎が、予選6番手から脅威の追い上げをみせた。
なお今シーズンは車両規則の一部が改定され、HA36はハイグリップタイヤが履けなくなる。ATやCVTと戦闘力の均衡化を図るのが目的であり、HA36乗りにとっては参戦コストの軽減にもなる措置だ。
ビギナーを対象とした5クラスは優勝が66号車 太田治久/相原誠二郎、準優勝が463号車 村上征也/安達悠人で3位が60号車 猪狩英樹/明智武史だった。
HA36カップ:15台が出走し熱いバトルを展開
続いて併催の東北660・HA36カップは合計15台が出走した。5速MTの1クラスは予選で920号車 茂木大輝が1分57秒229をマークしてポールポジションを獲得。わずか0.035秒差で2番手の83号車 小松日高はともにオートリサーチ米沢からのエントリーだ。決勝はこの2台を3番手の210号車 岡部晧輝が追う展開になったが、ポジションの変動はなく茂木−小松−岡部の順でフィニッシュとなった。
AGSとCVTの2クラスは今季の急成長株、8号車 猪又真輝が総合でも3番手の1分57秒798でポール。決勝も安定した走りでポール・トゥ・ウィンを飾り、東北660選手権の4クラスと併せてシリーズを制した。
なお準優勝の47号車 椎名栄一郎は決勝のベストタイムで猪又を上まわり、3位の79号車 石山祐也は1クラスを含めた決勝の最速タイムを獲得している。他のドライバーも確実にタイムを伸ばしており、今年はますます混戦となるに違いない。
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ちなみに東北660選手権は2024年4月14日にスポーツランドSUGOで、HA36カップは6月30日にエビスサーキット東コースで開幕。観戦するだけでも楽しめるレース、観戦はサーキットの入場料のみでOKだ。興味がある人はぜひ現地に足を運び、軽自動車による熱いバトルをリアルで楽しんでみてはいかがだろうか。