他メーカーからの乗り替えユーザーが80%を占めた
ところで2代目はロッドのCM効果もさることながら(彼のファンである筆者は、それだけでも当時おおいいにササってはいたが……)、レガシィそのものの魅力が人気を集めた理由だったのは当然のこと。とりわけ話題を攫(さら)ったといっても過言ではなかったのが、ツーリングワゴンにも設定されたGT系の登場だった。搭載したのは新開発だった2LのBOXER4カム16バルブ・2ステージツインターボ。EJ20型の中ではトップパフォーマンスを誇るエンジンで、最高出力250ps/6500rpm、最大トルク31.5kgmのスペックを誇り、冷式インタークーラーを採用。そのためのエアインテークがボンネット上に設けられていた。
4速ATだけでなく5速MTも設定。他方4WDシステム(この頃はまだ“AWD”とは呼んでいなかった)として、ターボのAT車には、センターデフによる前後輪へのトルク配分比を前=35%:後=65%の不等配分比率としたVTD−4WD(バリアブル・トルク・ディストエリビューション−4WD)を採用するなどしていた。エンジンはほかに2Lの4カム16バルブ(150ps/18.5kgm)、16バルブ(125ps/17.5kgm)に加え、2.2L(135ps/19.0kgm)も設定。この2.2Lを搭載するブライトンにはエアサスペンション仕様も用意された。
またこの2代目レガシィでは、のちにGTと並ぶ人気車種となったグランドワゴンが1995年8月に登場(1997年8月にはランカスターに改名)。200mmの最低地上高をもつ、今のSUV市場のパイオニア的存在のモデルで、もともとは北米市場向けに企画されたモデルだった。前後するが、1994年10月には2.5Lエンジン搭載の250Tシリーズも登場、これはツーリングワゴンのほかにセダンのツーリングスポーツにも用意された。サスペンション系では1996年6月の改良時に、ビルシュタイン製倒立ダンパーストラット(倒立式はWRCマシンの555インプレッサに装着されていた)をGT-Bに採用している。
2代目レガシィ・シリーズは販売計画台数を大幅に上まわっただけでなく、ターボにより上級グレード車の販売比率も飛躍的に上昇したという。他メーカーからの乗り替えユーザーが80%を占め、新たなスバルユーザーの開拓も実現した。まさしくグランドツーリングの醍醐味を教えてくれた、そんなクルマだった。