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2代目スバル「レガシィ」が初代を販売で上回った理由は? CMにロッド・スチュワートを起用したイメージ戦略がありました【カタログは語る】

Dピラーを見かけ上は隠しガラスエリアをグルッと回すなどし、レガシィ ツーリングワゴンのアイデンティティを継承

グランドワゴンは今のSUV市場のパイオニア的存在

1993年にフルモデルチェンジが施されたスバル「レガシィ」。初代同様に5ナンバーサイズをキープしながらホイールベースを拡大したことでロングキャビン化を実現しました。のちにGTと並ぶ人気車種となったグランドワゴンが1995年8月に登場し、販売計画台数を大幅に上まわった同車をカタログで振り返ります。

TVCMにロッド・スチュワートを起用

1989年に登場した初代「レガシィ」は、AWDをメインに据え、登場するや否やそれまでのレオーネを上まわる人気を集め、スバル車のファン層を厚くした。とくにツーリングワゴンについては、当時の日本市場でワゴンブームを巻き起こすキッカケとなり、日本車史上でも名を残す存在となったのはご承知のとおりだ。

そんな初代の後を受け、1993年10月に初のフルモデルチェンジを実施。ここで登場したのが2代目レガシィだった。型式はツーリングスポーツがBD型、ツーリングワゴンはBG型。注目だったのは初代同様、全幅1695mmの5ナンバーボディがキープされた点である。当初は6気筒エンジンの搭載を前提に3ナンバー化が予定されていたという。ただし……というかその代わりにホイールベースは初代(セダン/ツーリングワゴンとも)の2580mmから+50mmの2630mmとすることで、室内スペースの拡大を図りロングキャビンを実現していた。

スタイリングはツーリングスポーツもツーリングワゴンも初代のイメージを受け継いだ、いわば正常進化型。ツーリングワゴンでは初代同様のハイルーフが採用されたほか、Cピラーを見かけ上は隠しガラスエリアをグルッと回すなどし、レガシィ ツーリングワゴンのアイデンティティを継承している。

セダンのツーリングスポーツについてもDピラーがボディ色化されたものの、6ライトやその後も継続採用されたサッシュレスのドア構造などが使われた。ちなみに2代目レガシィのスタイリストはフランス人のデザイナー、オリビエ・ブーレイ(Olivier Boulay)で、彼は後にメルセデス・ベンツ(1992年〜)、三菱(2001年)と転籍、メルセデス・ベンツでは新生マイバッハの立ち上げに関わったほか、三菱でも同社の新デザインを手がけ、ミニバンのグランディス、コルトなどが生み出された。

“継承”ということでは、この2代目も発売直前の1993年9月、249.981km/hの世界最速ワゴンの記録を達成している。前文で“も”としたのは、初代レガシィも1989年1月の発表時(発売は同年2月)、4WDのセダン3台により、10万km・平均時速223.345km/hの世界記録を樹立していたから。連続19日間、447時間44分09秒887の記録だった。

もちろん2代目は、性能、販売ともに初代の上をいく実力と成果を収めた。その一助になったのが広告展開だったのだろう。この2代目ではCMにロッド・スチュワートを起用、最初の挿入曲はインプレッションズの渋いカバー曲「People Get Leady」で、ロッドと同じイギリスのギタリスト、ジェフ・ベックとの共作により1985年にリリースされたものからロッドの歌の部分を採用。その後、彼のオリジナル曲の「Tonight’s The Night(Gonna Be Alright)、邦題は“今夜きめよう”」、そして有名な「Sailing」も採用された。最初のカタログでもツーリングワゴンのほうの最初の見開きに、別途手配の写真風ながら、ロッドが登場している。

他メーカーからの乗り替えユーザーが80%を占めた

ところで2代目はロッドのCM効果もさることながら(彼のファンである筆者は、それだけでも当時おおいいにササってはいたが……)、レガシィそのものの魅力が人気を集めた理由だったのは当然のこと。とりわけ話題を攫(さら)ったといっても過言ではなかったのが、ツーリングワゴンにも設定されたGT系の登場だった。搭載したのは新開発だった2LのBOXER4カム16バルブ・2ステージツインターボ。EJ20型の中ではトップパフォーマンスを誇るエンジンで、最高出力250ps/6500rpm、最大トルク31.5kgmのスペックを誇り、冷式インタークーラーを採用。そのためのエアインテークがボンネット上に設けられていた。

4速ATだけでなく5速MTも設定。他方4WDシステム(この頃はまだ“AWD”とは呼んでいなかった)として、ターボのAT車には、センターデフによる前後輪へのトルク配分比を前=35%:後=65%の不等配分比率としたVTD−4WD(バリアブル・トルク・ディストエリビューション−4WD)を採用するなどしていた。エンジンはほかに2Lの4カム16バルブ(150ps/18.5kgm)、16バルブ(125ps/17.5kgm)に加え、2.2L(135ps/19.0kgm)も設定。この2.2Lを搭載するブライトンにはエアサスペンション仕様も用意された。

またこの2代目レガシィでは、のちにGTと並ぶ人気車種となったグランドワゴンが1995年8月に登場(1997年8月にはランカスターに改名)。200mmの最低地上高をもつ、今のSUV市場のパイオニア的存在のモデルで、もともとは北米市場向けに企画されたモデルだった。前後するが、1994年10月には2.5Lエンジン搭載の250Tシリーズも登場、これはツーリングワゴンのほかにセダンのツーリングスポーツにも用意された。サスペンション系では1996年6月の改良時に、ビルシュタイン製倒立ダンパーストラット(倒立式はWRCマシンの555インプレッサに装着されていた)をGT-Bに採用している。

2代目レガシィ・シリーズは販売計画台数を大幅に上まわっただけでなく、ターボにより上級グレード車の販売比率も飛躍的に上昇したという。他メーカーからの乗り替えユーザーが80%を占め、新たなスバルユーザーの開拓も実現した。まさしくグランドツーリングの醍醐味を教えてくれた、そんなクルマだった。

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