セリグマンの見どころは街の中心部だけじゃない!
広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。イリノイ州シカゴから西に向かい、見どころの多いアリゾナ州へ。今回は、ルート66復活の街として有名なセリグマンを拠点にした観光の楽しみ方を指南します。
街には便利なスーパーから創業90年の老舗バーまで揃う
ルート66が再び地図へ姿を現すきっかけになった街、そして私がアメリカへ何度も赴くきっかけになった街。泊まってこそわかる魅力も多いことは前に書いたとおりだが、今回はセリグマンでの過ごし方や周辺のスポットにも触れてみたい。
日用品が必要になったら「ヒストリック・ルート66ジェネラルストア」だ。お土産はもちろん、食料品に雑貨にちょっとした工具まで、生活に必要なものがほとんど揃うスーパーマーケットだ。東のフラッグスタッフの街か西のキングマンに行かないと大型の店舗は存在せず、私たちのような旅行者だけではなくセリグマンの人々も頻繁に利用している。他にいくつかあるガスステーション併設のコンビニエンスストアも、他の地域と比較すれば生活必需品のラインアップは多いようだ。
飲食店は前回に書いたとおりレストランからバーまで色々あり、朝食から夜のお酒まで困ることはないし料理のクオリティも上々。なお私のお気に入りは「ロードキル・カフェ」と「ブラックキャット・バー」だ。
ロードキルとは交通事故などに遭い動物が路上死亡することを指すが、当然ながら店名はジョークであり味も雰囲気もスタッフの接客も大満足である。
1900年代にカフェとして営業を始めたブラックキャット・バーは、禁酒法が廃止された1934年にアルコール類を販売する免許を取得、現在も地元の人やセリグマンで夜を過ごす旅行者にとってのオアシスだ。月曜がウォッカで火曜がテキーラといった、曜日ごとにお得なサービスメニューがあり、午前9時オープンなので昼飲みにもピッタリ。両隣がモーテルなので宿泊客がノドを潤しに来ることも多く、ここで仲よくなったルート66ファンもたくさんいる。
フォトジェニックな場所を探すのも楽しい
ちょっとマニアックな楽しみ方がしたい人なら、郊外のフォトジェニックな場所を探すのもオススメ。ひとつは老朽化で使われなくなった昔の橋で、今はクルマでの通行ができなくなっている。路肩に駐車して橋の中央まで歩いてみると通行止めの柵があり、付け根のコンクリートは素人から見てもボロボロで頼りなさげだ。歩いた衝撃で崩壊するほどではないにしろ、離れて撮影する程度にしておくのがいいだろう。場所はセリグマンからほんの少し東に行ったあたりで、現役の跨線橋と並行しているので見つけやすいはず。運がよければ貨物列車と一緒に撮影することが可能だ。
鉄道といえばセリグマンとキングマンの間には、もうひとつ鉄道を撮影できる最高のスポットがある。ほんの少しだけ崖を登るため注意は必要だが、壮大な景色と大編成のBNSF(バーリントン・ノーザン・サンタフェ)鉄道、隣を走るルート66をひとつの構図に収められる。運転手からもよく見える位置なので、近付いてきたら大きく手を振ってみよう。きっと勢いよく警笛を鳴らして応えてくれるはず。
近隣に足をのばせばミュージアムや乗馬体験も
他にも近隣の牧場では乗馬の体験もできるし、フラッグスタッフまで行けばスキー場もある。アリゾナは猛暑のイメージが強いかもしれないが、標高はセリグマンが1600mでフラッグスタッフは2000m。日本の大部分よりウィンター・スポーツに適した環境なのだ。
ルート66の歴史をより深く知りたいなら、隣町のアッシュフォークに足を伸ばそう。街の中心部にルート66ミュージアムがあり、規模は大きくないものの内容はかなり充実しており、常駐しているボランティアのみなさんもフレンドリー。もう少し西のキングマンにあるミュージアムと併せて、ルート66ファンなら必ず行くべきスポットといえる。
中心部の観光と買い物だけで済ますには惜しいセリグマン。旅をするならここを拠点にルート66を、そしてアメリカ西部を満喫してみよう。
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