ロールス・ロイスの物語に欠かせない重要な人物
120年前の1904年にヘンリー・ロイスとチャールズ・ロールズが出会ったことで、ロールス・ロイスの歴史がはじまったとされています。後世の人々にはあまり知られていませんが、ロールス・ロイスの物語には絶対に欠かせない重要な役割を果たした人々がいます。そのひとりがこれから紹介するヘンリー・エドマンズです。
トーマス・エジソンとも親交があった
ヘンリー・エドマンズは1853年3月20日、英国ウェストヨークシャーのハリファックスに生まれた。彼は見習い工として働きはじめるが、そこから、当時はまだ新しかった電気の世界に興味を抱くようになった。白熱電球を発明したジョセフ・スワンと親しくなった彼は、その後スワン・ランプ社のセールスマンとして働くこととなる。
彼の顧客は広範囲に及び、イギリス海軍もそのひとつだった。1881年、装甲艦の「HMSインフレキシブル」は電球で照らされた最初の英国軍艦となった。彼はまた、トーマス・エジソンとも親交があり、初めて成功した録音と電話の両方の場に立ち会ったともいう。
1886年、ヘンリー・エドマンズはマンチェスターを拠点とする電気ケーブルメーカー、WTグラバー社の共同経営者となる。1894年にマンチェスターシップ運河が開通すると、同社の運命は一変。具体的には、埠頭とそれに隣接する世界初の専用工業団地であるトラフォード・パークが建設され、WTグラバー社は、ヘンリー・ロイスが所有するマンチェスターの会社、F・H・ロイス社が設計製造した巨大なアーク照明システムの配線工事を受注することとなったのだった。
工事を完成させるためには、F・H・ロイス社もWTグラバー社も資本金が必要となる。ヘンリー・ロイスとヘンリー・エドマンズは、複雑な一連の組織再編、社名変更、相互の株式保有、経営陣の重複などを経て、ビジネス仲間として親しくなっていくのである。