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走行26万キロ超えの「86」が新車のように! トヨタがプロデュースする「86リフレッシュサービス」とは

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TEXT: XaCAR編集部 大野田諭(OHNODA Satoshi)  PHOTO: 増田貴広(MASUDA Takahiro)

  • GR Garage浦和美園で施工してもらった
  • トヨタ自動車 カスタマーファースト推進本部 サービス部 技術業務室 技術企画グループ 井上琢哉さん「中古車向けでスタートしたサービスでしたが、現86オーナーの皆さまにも体感してもらいたいということで商品化しました。ぜひリフレッシュを体感してみていただきたいです」
  • トヨタ自動車 カスタマーファースト推進本部 サービス部 技術業務室 技術企画グループ 横田早貴さん「このサービスに魅力を感じて希望して、今の部署に配属していただきました。これからも愛車に長く乗っていただけるサービスを提案していきたいと思っています」
  • GR Garage浦和美園 GRコンサルタント 本間 拓さん「今回の86リフレッシュサービスは、愛車に長く乗るためのきっかけになると思っています。お客様と対話させていただき、それぞれのお客様にとってベストなプランを一緒に考えていきたいと思っています」
  • イグニッションコイルやスパークコイルなどの交換はもちろん。SX7000カーボンクリーナーやエンジンコンディショナーによる、エンジン内部の洗浄がポイントになる。本来のポテンシャルを引き出すために汚れを落とすのだ
  • イグニッションコイルを新品に交換
  • スパークプラグも新品に交換
  • エンジンリフレッシュコースでは、エンジンを降ろすことはしない。インマニのみを取りはずして上部からできる範囲でエンジン内部の洗浄を行っていく
  • GRインジェクタクリーナーを燃料タンクに投入。インジェクタやインテークバルブ、プラグ、燃料室に付着したデポジットを除去
  • SX7000を点滴のように投与して、燃焼系、吸気系のカーボン除去することで、吸気効率と燃焼効率の回復が狙える
  • スロットルバルブに付着したカーボンも添加剤を使って除去する。施工前は、それなりに汚れが付着していた
  • 【Before】インマニを外してエンジン内部を除くと、カーボンが付着しているのが確認できる。エンジンオーバーホールで洗浄して4万kmでこれだけ汚れていた
  • 【After】洗浄を行った後は明らかにキレイになった。今回はファイバースコープを使って細部までの汚れを落とした
  • エンジン洗浄後、アクセルオンするとマフラーからは白煙が出た。添加剤と一緒に汚れが排出されたと思われる
  • 【Before】エンジンマウントや、ミッションマウント、デフマウント、マフラークッションなど
  • 【After】足まわりゴムブッシュリフレッシュパーツ類
  • 【Before】かなりくたびれていたデフマウント
  • 【After】新品に交換することで、トラクション性能がアップした
  • 取り外したデフマウントはゴムが劣化してヒビが入っていた
  • 【Before(ショックアブソーバーは含まない)】フロントサスペンション、アッパーサポート、バンプラバー、ショックダストブーツ、ロアアーム、リアサスペンション 、アッパーサポート、バンプラバー、ショックダストブーツなど
  • 【After(ショックアブソーバー本体は含まない)】足まわりブッシュ類
  • ロアアームやアッパーサポート、スプリングバンパー、バンプラバー、ショックダストブーツなど劣化が想定される部分を新しくすることができる
  • フロントのショックアブソーバー。スプリングは、新品に交換はしない
  • リアのショックアブソーバー。スプリングは、新品にはしない
  • スプリングは劣化が少ないので流用する。交換するのはショックアブソーバーのみ。86本来の乗り味を体感することができる
  • ブレーキローターやブレーキパッドシム類なども含めて一新する。スポーツ走行が少なく純正ブレーキで十分という人は施工すると安心感が増す
  • ディスクローターやブレーキパッド、キャリパーオーバーホールなどを行う
  • 本来のブレーキ性能を取り戻すことができる
  • シリンダーブーツやピストンシール、スライドピン、ブーツなどブレーキキャリパーのオーバーホールでゴム部品はすべて新品に交換される
  • ブレーキオーバーホールは定期的に行う必要がある。シリンダーブーツなど劣化すると、キチンと動かなくなる可能性があるからだ。すべて新品にすれば安心である
  • オーバーホールで交換された、古くなったシリンダーブーツやピストンシール類
  • すべての86リフレッシュサービスの施工を終えて、GRコンサルタントが最終確認を終えたら作業終了。今回は、すべての施工に2日間を要した。GR Garage浦和美園のみなさんありがとうございました
  • サスペンションを交換した当初は、少し車高が上がったように見えたが、徐々に馴染んできた
  • ザッカー号の走行距離は施工前で26万2986km。過走行であることに違いないが、これまでノントラブルなので、今の良い状態を保つ意味でもリフレッシュサービスをお願いすることにした
  • 今回ザッカー号に86リフレッシュサービスを施工するにあたり、GRGarage浦和美園で作業をお願いすることにした。右からGRコンサルタントの本間 拓さん、坂本貴大さん、大庭直人さん。トヨタ自動車 カスタマーファースト推進本部・サービス部・技術業務室・技術企画グループの井上卓哉さん、同グループの横田早貴さん
  • 足まわりの最終工程としてアライメント調整を行う。ザッカー号はフロントのタイロットエンドが固着していて調整出来なくなっていた……。今後の課題が見つかった
  • 86リフレッシュサービスを施工して、新車のときのような走りが蘇った
  • 今回は、86リフレッシュサービスで設定された、すべての項目を施工した

ZN6の新車は買えないが、ZN6を新車時のように乗ることはできる

「86リフレッシュサービス」とは、名前の通り古くなった先代トヨタ「86」をリフレッシュすることができるサービスです。申し込み方法は「GR Garage申込み」と「KINTO FACTORY申込み」のふたつ。GR Garage申込みだとGRコンサルタントと相談できて愛車にマッチするより詳しい提案をしてくれますし、KINTO FACTORY申込みだと、店舗の営業時間に関係なく申込みができ、工賃込みの料金設定が出るのでラクチン。それぞれにメリットがあるのです。

(初出:XaCAR 86&BRZ magazine Vol.043)

26万キロオーバーのXaCAR編集部の86で体感しました

自動車メーカーであるトヨタ自動車がGR GarageとKINTO FACTORYを通じて86のリフレッシュサービスをスタートさせた。「えっ古いクルマをリフレッシュさせたら新車を買ってもらえなくなっちゃうじゃん」というのが筆者を含めた庶民の発想だが、トヨタ自動車は、せっかく多くの皆さんに愛してもらっている86を少しでも長く、より良い状態で乗ってもらいたいということで、大盤振る舞いに踏み切った。

ザッカー編集部の86(以下ザッカー号)のような超過走行車であっても、新車の時のフィーリングを蘇らせることができるプランを登場させてきたのだ。今回ザッカー号では、贅沢にも設定されたすべてのリフレッシュサービスを体感させていただくことにした。果たしてサービスの中身はどんなものなのか……、体感したことを素直にお伝えしていくことにしよう。

86と長く付き合うためにぜひ受けておきたいサービス

ザッカー号の走行距離は26万kmを超えた。2012年3月登録のド初期のA型なので、当時の86に今でも乗っている方であれば、この走行距離を見ても何も驚かれないであろう。定期的に各セクションのオーバーホールを行ってきたのと、5000km走行ごとにオイル交換(GRオイルを使用)を行ってきたためか、ほぼノントラブルでここまで走ることができている。編集部にやってきた当初はテストも兼ねてサーキット走行も行っていたが、15万kmを超えた頃からはいたわる気持ちが強くなり、スポーツ走行は控えめになった。

これまで行ってきたザッカー号のオーバーホールは、15万km走行でトランスミッションのオーバーホール、18万kmでブレーキキャリパーのオーバーホール、22万kmでエンジンオーバーホール。サスペンションはこれまで5セット装着(すべて純正)してきた。ザックスやC型、ZN8の純正ダンパーまでも装着した。エンジン&ミッションマウントも2回交換している。マフラーはフジツボEPU、プロジェクトμのブレーキパッドやブレーキローター、ブレーキホースなどを装着しているが、ZN6らしさを大切にしてきたつもりだ。

おそらく多くのユーザーは、マイカーで10万kmも走行したことがないと思う。もちろん全員とは言わないが、多くの人は2回目か3回目の車検で手放してきただろうし、それが当たり前だったと思う。10年も同じクルマに乗るなんて、なかなかないことなのだから。ただ筆者の知る86オーナーの多くは、乗り換えることなく、ZN6に乗り続けている。そうすると、自分の愛車は大丈夫だろうか、エンジンの中身はどうなっているのだろう? という気持ちになって当たり前である。86リフレッシュサービスは、そんな不安を払拭することができるメニューになっている。

弊誌『XaCAR 86&BRZ magazine』では、このサービスの元になった「Re:PROJECT」も過去に取材している。2022年10月にGR Garage袋井で中古車向けに先行スタートしたもので、その後もGR Garageのスタッフと一緒に開発しながら今回の商品化に行きついたという。

具体的には、作業工程の効率的な順番を決めるなど、多くの意見やアドバイスがフィードバックされたそうだ。その中身は凄腕技能養成部が監修するという本格的なもので「トヨタは本気で古い86をリフレッシュしようとしている」というスピリッツを感じられるものだった。今回、いよいよザッカー号にすべてのサービスの施工を行うということで、26万km走行の86がどれだけ蘇るのかレポートしていこう。

エンジンリフレッシュコース:12万1000円

エンジンは、走行距離に応じて内部に汚れが堆積する。エンジンの汚れが溜まると、アイドリングが不安定になったり、アクセルレスポンスが悪くなるなどエンジンの性能が低下する。エンジンリフレッシュで汚れを除去することで、エンジン本来の性能を取り戻すことができる。

【交換部品・作業内容】・エンジン内部清掃 ・エンジンオイル ・オイルフィルター、・イグニッションコイル ・スパークプラグ(交換部品の詳細は販売店にご確認ください)

【作業のポイント】インマニ(インテークマニホールド)、ポート、シリンダー内をエンジンの分解せずインマニ脱着のみで清掃する。同時にコイル・プラグも交換する。

マウントゴムリフレッシュコース:9万9000円

マウントゴムは、エンジンの熱をはじめ外的要因で時間経過とともに硬化したり、ひび割れが発生する。 劣化すると、エンジンの振動を吸収しきれなくなり、アクセル操作時に駆動が伝わるまでのタイムラグが大きくなったり、トランスミッションの位置がずれやすくなりシフト操作がしにくくなるなどの症状が発生する。 マウントゴムの交換により、足まわりを交換したかのような微振動の低減と、駆動力がなめらかに伝わり発進もしやすくなる。ミッション位置も適切に維持されるためシフトの入りも改善する。

【交換部品・作業内容】・エンジンマウント、・ミッションマウント、・デフマウント、・マフラークッション (交換部品の詳細は販売店にご確認ください )

【作業のポイント】エンジン~ミッションのパワートレインを支えるマウントや、駆動力を受け止めるデフマウント、重量のあるマフラーを支えるクッションゴムを交換する。

足まわりゴムブッシュリフレッシュコース:2万2100円

路面からの衝撃を吸収するサスペンションを上下で支える足まわりゴムブッシュは、エンジンの熱をはじめ外的要因で時間経過とともに硬化したり、ひび割れが発生する。劣化すると、走行中の微振動が吸収できなくなり、ステアリング操作時や段差乗り越え時などの乗り心地が悪化する。数多くのゴムブッシュの中から、影響度の大きい部品を見極め最小単位の部品交換点数に留めることで、低価格を実現する。

【交換部品・作業内容】・フロントサスペンション ・アッパーサポート ・バンプラバー ・ショックダストブーツ ・ロアアーム リアサスペンション ・アッパーサポート ・バンプラバー ・ショックダストブーツ(交換部品の詳細は販売店にご確認ください )

ショックアブソーバーリフレッシュコース:16万3900円

走行距離や時間の経過でショックアブソーバーが劣化すると、走行中やブレーキ時の揺れを減衰できなくなり、乗り心地が悪化する。ショックアブソーバーを交換することで走行時の足もとの微振動や「ザラザラ」とした乗り心地が改善する。純正ショックアブソーバーを使用するため、以前取り付けた市販品が劣化してしまった方や、中古車で購入して本来の86の乗り味を体感してみたい方におすすめのコースになる。

【交換部品・作業内容】・フロント、リアショックアブソーバー(交換部品の詳細は販売店にご確認ください)

【作業のポイント】 純正ショックアブソーバーへ交換。交換後のアライメント調整込みのコース。

ブレーキリフレッシュコース:12万5400円(標準キャリパー用)/33万円(ブレンボ製4ポット用)/38万5000円(ブレンボ製6ポット用)

ディスクローターの摩耗やキャリパーの動きが悪くなると、ブレーキ操作時に振動が発生したり、ブレーキパッドの偏摩耗につながる。ディスクローター、ブレーキパッドの交換とキャリパーオーバーホールで、本来のブレーキ性能を取り戻したい方におすすめのコース。

【交換部品・作業内容】・ディスクローター ・ブレーキパッド ・キャリパーオーバーホール ・スライドピン(交換部品の詳細は販売店にご確認ください)

【作業のポイント】キャリパーオーバーホールに合わせ、長年負担がかかっているスライドピンも同時に交換する。

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