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アーマーゲーと呼ばれた時代のAMGが9000万円で落札! メルセデス・ベンツ傘下前の独立系チューナー時代のモデルはさらに高価になる!?

58万2500ドル(邦貨換算約8740万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「560SEC 6.0ワイドボディ」(C)Courtesy of RM Sotheby's

AMG車らしい独特な雰囲気を演出した1台

2024年3月1日〜2日、RMサザビーズがアメリカ・マイアミで開催したオークションにおいてメルセデス・ベンツ「560SEC 6.0ワイドボディ」が出品されました。当初アークティック・ホワイトのボディカラーを纏っていましたが、元のオーナーによってAMGの象徴ともいえるブルーブラックに再塗装されて今の姿になりました。早速、オークションの結果についてお伝えします。

メルセデス・ベンツ傘下に収まる前の最後のV8エンジンを搭載

まだAMGがチューニング・メーカーとして独立していた時代、彼らが製作したモデルの中で最もワイルドで、かつ最も有名なモデルといえば、多くの人がイメージするのは、この「560SEC 6.0ワイドボディ」ではないだろうか。

1967年メルセデス・ベンツのエンジニアだったハンス・ヴェルナー・アウフレヒトとエアハルト・メルヒャーによって設立された同社は、コンパクトなシャシーに高性能な大型エンジンを搭載することで、瞬く間にその存在を広く知られるようになった。

メルセデス・ベンツがそもそも持つ品質の高さに、エキゾチックなパフォーマンスや大胆な美学を追求する自由奔放なセンスを融合させたAMGは、1986年にはメルセデス・ベンツとともにレース用エンジンの開発をスタート。メルセデス・ベンツ傘下への道をゆっくりと歩み始めた。そして1990年には両社の間には協力協定が締結され、その第1弾モデルともいえる「C36」が1993年に新型Cクラスとともに発表されることになる。

560SEC 6.0ワイドボディに話を戻そう。今回RMサザビーズ社がフロリダで開催したマイアミ・オークションに出品した同モデルは1990年式。チューニングのメインアイテムとなっているのは、もちろんフロントに搭載される6LのV型8気筒DOHCエンジンだが、AMGの社内でM117/9型と呼ばれるこのエンジンは、メルセデス・ベンツがR129型SLのために開発した最新のM119型V型8気筒エンジンのブロックと、AMG製のM117用ヘッドを組み合わせたもの。

エンジン内部の構成部品もその多くはAMG製のものに変更され、375psの最高出力を得ていた。そのためM117/9型エンジンは、AMGが製作していた初期のM117型エンジンと比較すると、その堅牢性や信頼性、あるいはサービス性においてもさらに大きな魅力を持つエンジンに進化したのだ。ちなみにAMGにとってこのエンジンは、メルセデス・ベンツ傘下に収まる以前に発表した最後のV型8気筒エンジンということになる。

AMGの手により生まれ変わった560SEC 6.0

今回オークションのステージに導かれた560SEC 6.0ワイドボディは、当初アークティック・ホワイトのボディカラーを施されていたと記録されているが、元のオーナーによってAMGの象徴ともいえるブルーブラックに再塗装された。

同時に6.0L DOHCエンジンのアップグレードとワイドボディのコンバージョンパッケージに加え、4ピストンのフロントブレーキ、AMGのフルサスペンション・システム、エグゾースト、リミテッド・スリップ・デファレンシャル、さらにはアンスラサイトレザーなどの高級素材を用いたインテリアのアップグレードも施されている。

58万2500ドル(邦貨換算約8740万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「560SEC 6.0ワイドボディ」(C)Courtesy of RM Sotheby’s

出品車の560SEC 6.0ワイドボディは、再びAMGの手で生まれ変わったと言ってもよい。ホイールはOZ製のスタッガード17インチ3ピース・エアロIII。これもまたブルーブラックのフェイスがボディとマッチングし、AMG車らしい独特な雰囲気を演出している。

2014年にカナダのオンタリオ州に輸出されたというこのモデルは、現在までの走行距離が6万2235km。RMサザビーズはその人気を背景に、50万~70万ドル(約7500~1億500万円)という驚きの予想落札価格を提示したが、やはりその人気は高かったようで、最終的に入札額は58万2500ドル(邦貨換算約8740万円)を記録した。AMGがまだ独立したチューニング・メーカーだった時代の作品は、これからますますその価値を高めていくのだろう。

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