「割込み」や「幅寄せ」は違法行為になる
若葉マークや高齢者マークなどクルマの前後に貼る標識があります。クルマに貼る標識と言えば、他にも蝶々マークや四つ葉のクローバーがありますが、これらの意味を理解している人は意外にも少ないです。あらためて解説をしていきます。
正式名称は「運転者標識」
初心者マークをはじめ、法令で車体に張ることが義務・努力目標とされているマークがいくつかある。これらは「運転者標識」が正式名称だが、その意味するところが曖昧なマークも存在する。対象は、軽自動車を含む普通自動車となる。
蝶々マーク
蝶々がデザインされたマークはめったに見かけることがありませんが、正式には「聴覚障害者標識」という。
これは法令で定められた条件を満たし、普通自動車を運転することができる聴覚障害者が表示するマークで、表示義務のあるマークのひとつ。クルマの運転を許可されている聴覚障害者は、このマークの表示と共に、特定後写鏡(ワイドミラー又は補助ミラー)を装着することが義務付けられている。それを怠ると道路交通法違反になる。
また他のドライバーは、このマークを張り付けているクルマに対し、「割込み」や「幅寄せ」を行うと道路交通法違反になり、反則金6000円(普通車)+違反点数1点が課せられるので要注意が必要だ。
クローバーマーク(四つ葉マーク)
四つ葉のクローバーのマークの正式名称は「身体障害者標識」。これは肢体不自由であるために、運転免許に条件を付されている人が表示するマークで、表示義務ではなく努力義務になっているもの。
基本的には、障害者自身が運転するクルマにつけるマークで、障害者が同乗しているという場合は表示する必要はない。とはいえ、障害者以外が表示をしてもとくに罰則はなく、ホームセンターや100円ショップでも購入できるので、家族に軽度の障害者や手足が不自由な人がいると、このマークを貼っている人も多いようだ。
しかし、このマークは、あくまでも走行中のクルマの保護義務を認識するためのものであり、駐車禁止除外指定車証の効力などがあるわけではないので、誤用・悪用しないように。
初心者運転標識/高齢運転者標識
その他、初心者マーク(初心運転者標識)には表示義務があり、高齢者運転マーク(4色のクローバー型のマークもしくは紅葉マーク、正式には「高齢運転者標識」)は努力義務となる。以上4つのマークは、交通弱者への配慮を促すものとなっているため、貼ってあるクルマに対しては思いやりのある運転を心掛けたい。運転者標識を表示しているのに、「割込み」や「幅寄せ」を行うのは違反で、上記のように取り締まりの対象にもなっている。
車いすマークは運転者標識ではない?
最後に、わりと利用者が多い、「車いすマーク」についても触れておこう。
この車いすマークは「運転者標識」ではないので、貼り付けるための条件はとくにない。
「BABY IN CAR」のマークと同じようなもので、貼る・貼らないは個人の意思、任意に任されている。当然、表示しても、道路交通法上の規制を免れるなどの法的効力は生じず、駐車禁止を免れる、または障害者専用駐車場が優先的に利用できるなどの証明にはならない。また、周囲のドライバーにも、保護義務などは求められていないが、弱者がクルマに乗っていることを示しているので、意地悪をするようなことだけはやめておこう。