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BMW第2の「ノイエ・クラッセ」は電気自動車で! 始祖となる「1500」の大ヒットに「ノイエ・クラッセX」はあやかることができるか!?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: BMW

BEVに新しいクラスをもたらす? 新生ノイエ・クラッセとは?

元祖「ノイエ・クラッセ」が、1960年代の自動車業界に「新しいクラス」を提唱しようとしていたのに対して、さる2023年にBMWお膝元のミュンヘンで開催された「IAAモビリティ2023」において初公開された新生「ヴィジョン・ノイエ・クラッセ(Vision Neue Klasse)」は、これまで1~8シリーズで構成されてきたBMWのカテゴライズから離れ、電動化を前提とした「新しいクラス」を提唱しているかのように映る。

必要なもの以外はすべて削ぎ落としたシンプルな面構成、あるいはスリークなラインにより「クリア、エレガント、タイムレス」を目指したというヴィジョン・ノイエ・クラッセのボディスタイルは、先日逝去した故マルチェッロ・ガンディーニ「博士」がデザインし、1970年のジュネーヴ・ショーにてベルトーネ名義でショーデビューした「ベルトーネ・ガルミッシュ(Bertone Garmisch)」コンセプトカーを意識したかに思われる。

ただ、のちのE12系初代5シリーズのたたき台になったことでも知られるガルミッシュについて、BMWのデザインディレクターであるドマゴイ・デュケック氏は「ヴィジョン・ノイエ・クラッセ」のデザインワークにあたり、1980年代に大ヒットしたE30系2代目3シリーズE30型に影響を受けたと語っているという。

その真偽はさておき、ヴィジョン・ノイエ・クラッセの発表に際しては、メカニズムやスペックに関する詳報もリリースされていなかった。しかし、効率性に優れた最新世代の電動ドライブトレインや、エネルギー密度を20%以上も高めた新開発のバッテリー・セルなどの先進技術を搭載するとのこと。その結果、充電速度が従来のBMW製BEVよりも最大30%速くなり、航続距離も最大で30%延長されたとアピールされているようだ。

人とクルマの関係を一変させる可能性を秘めている

また、これまでのBMW市販車やコンセプトモデルでも例を見ない包括的なデジタル化を目指し、デザインや開発、生産、流通の方法を変化させてゆくとのこと。そしてもっとも重要な点は、人とクルマの関係や、そのやりとりの方法を一変させる可能性を秘めていることという。

さらに走行中だけではなく、走行用バッテリー充電中の休憩時間やクルマの周辺にいるときなどでも「My BMW」アプリを使うことにより、原則的にはどこからでもアクセスできるとのことである。

BMWでは、2025年以降に6車種の展開が予定されるBEVの新シリーズを「ノイエ・クラッセ」シリーズとして展開するとも言われており、先ごろ発表されたコンセプトモデルとなるSUV「ビジョン・ノイエ・クラッセX」が市販化第1弾となるであろう。

しかし、これまではBEVへの完全移行が既定路線と謳われていた自動車業界の未来予測が、ドラスティックに方向転換する可能性も見え隠れしているのが世界的な現状ともいえる。今後の成り行きに、注目したいところである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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